決勝ゴールを決めた履正社のMF那須大雅(左)とMF名願斗哉(右)

　11月7日、第100回全国高校サッカー選手権大阪予選の準決勝がヨドコウ桜スタジアムで行われ、第2試合の履正社vs大阪桐蔭はMF那須大雅のゴールを守り切った履正社が1-0で大阪桐蔭を下した。勝利した履正社は決勝で阪南大高と対戦する。

　連覇を狙う前回大会王者の履正社は今大会ここまで無失点。バランスを崩すことなく6回戦、準々決勝を1-0で突破してきた。対するインターハイ全国16強の大阪桐蔭は準々決勝で東海大仰星とのPK戦で11人目までもつれる死闘を制して勝ち上がってきた。

　ヨドコウ桜スタジアムでのこの試合は第1試合の阪南大高vs大阪産大附の一戦が延長戦となった為、30分遅れてのキックオフとなった。履正社は14番MF那須大雅を今大会初スタメンに起用。10番FW廣野大河が怪我から復帰した。大阪桐蔭は19番MF近田大空と14番MF柳秀聖の2年生二人をスタメンに起用してきた。

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　序盤からボールを握ったのは履正社。4バックとボランチでボールを回しながら相手の隙を探す。大阪桐蔭は中央を締める守備で距離を一定に保ちながら対応。両チームシュートがないままゲームが進んでいくと13分、履正社は右サイドのスローインの流れから20番MF川端元が縦に突破すると、折り返しを11番MF名願斗哉が落としMF那須がPA外からダイレクトで左足を振り抜く。このシュートをキャッチにいった1番GK藪中優希だったが、ボールがすり抜けてゴールに吸い込まれた。

　「前半の早いうちにシュートを打っておこうと思っていた」というMF那須の積極的な姿勢が功を奏し、履正社がファーストシュートで先制に成功する。これで勢いに乗った履正社は今大会絶好調のMF名願が度々ドリブル突破をみせチャンスを作ると、9番FW宮路峻輔が積極的にゴールを狙っていく。

選手権大阪予選 準決勝 履正社 vs 大阪桐蔭

　「前半は受け身になってしまって下がり気味なディフェンスをしてしまった」とキャプテン3番DF小林柾輝が言うように大阪桐蔭はDFラインが下がってしまい、「失点したこともあって焦ってしまった」(DF小林)とビルドアップの際も履正社のプレッシャーを剥がせず、相手にボールを奪われてしまいペースを掴むことが出来ない。

　流れを変えたい大阪桐蔭は前半終了間際に8番MF室勇志を、後半に入ると11番MF奥野龍登も投入する。するとボールを持てる2人が入ったことで悪い流れも改善し反撃開始。62分にMF室が左足でミドルを狙うと、76分には途中出場のエース10番FW大野陽平が裏に抜け出しGKとの1対1になるシーンを作る。しかしどちらも履正社の守護神、富山内定GK平尾駿輝に阻まれゴールならず。

　結局、大阪桐蔭は最後までGK平尾の牙城を崩すことが出来ずタイムアップ。大阪桐蔭のインターハイに続き選手権でも全国に出場するという道は途絶え、2年連続準決勝敗退となった。勝利した履正社はこれで4試合連続無失点。2年連続の決勝進出を決めた。

　履正社の平野直樹監督は「システム的なこともあるのかもしれないけど、なんであんなにバタバタしてしまったのかな」と勝利しても攻撃面では納得がいかなかった。しかし「昔のイタリアみたいだね(笑)」と3試合連続1-0での勝利。そして4戦連続無失点ということで「崩されて決定機というのは作られていないので、子供たちのディフェンスへの意識は高いと思います。2トップも前からのチェイシングをしっかりするし、そのおかげで後ろが狙いを持った守備が出来る。リーグ戦でも点は取れているけど失点も最小なので」と守備に特化している訳ではないがチーム全体で高い意識で守れていると説明した。

　その証拠に試合終了と同時に敗れた大阪桐蔭と同じく、勝った履正社の選手もピッチに一斉に倒れ込んだ。エースのFW廣野もこの試合はシュート0本に終わったが、足がつっても最後までチェイシングを止めなかった。「全員で守って全員で攻める。全員で戦うのが強み」と今年のチームについてコメントした廣野。去年はスーパーサブとして活躍した"履正社の太陽"が背番号10を背負いチームの為にピッチを走りまわった。

　決勝では準決勝第1試合で大阪産大附に勝利した阪南大高と対戦することが決まった。全国屈指の激戦区の大阪で連覇となるか。11月13日、吹田スタジアムで行われる決勝で履正社が夏の大阪王者である阪南大高に挑む。

　(文・写真＝会田健司)