最北の決勝対決はPK戦の激闘 北海が「青春ごっご」から目覚めて2年ぶり11度目の全国へ
北海イレブン(写真＝有岡志信)
10月24日、札幌厚別公園競技場で決勝が行われ、北海が0-0のままPK戦で旭川実を下し、2年ぶり11度目の北海道代表に輝いた。優勝候補に挙げられた旭川実、準決勝で札幌大谷を退け、2年前と同じくプリンスリーグ北海道未参入のチームとして、北海道の頂点に立った。インターハイ北海道予選の初戦敗退から復活を遂げ、メンタル面で一段と成長し、白熱した接戦を制した。
序盤から旭川実が主導権を握る展開だった。システムは北海の3-4-2-1に対し、旭川実が4-4-2。攻撃に枚数を増やしてパワープレーを見せる旭川実に、北海は守備時の危険な局面に両ウイングバック、ボランチとの連動で5バックにして守備を固めて、攻撃をはね返した。シュート数は北海の4本に対し、旭川実が11本と上回った。
後半に入ると、旭川実が北海のDF裏へロングボールを多用し、好機をうかがったが、なかなか決定機を奪えない。北海が守備で耐えしのぎ、20分の延長戦でも決着がつかず、PK戦に突入した。延長戦の終了間際、北海の島谷制勝監督が動いた。GKを伊藤麗生（3年）から神宮快哉（3年）に代えた。今大会の2回戦（対札幌創成）でも同じ展開で、神宮の好セーブでPK戦を制している。再びPK請負人に勝負を委ねた。
旭川実 vs 北海(写真＝有岡志信)
緊迫するPK戦の中、神宮が旭川実4人目のシュートを的確に読んだ。ゴール左端へ横っ飛びでセーブ。北海の5人目のMF長谷川悠翔（3年）がきっちりゴール右隅に決めて、激戦に終止符を打った。神宮は「練習からボールを最後まで見ることを心がけた。（勝利への）執着心を持つことができた。啓史（MF川崎副主将）を全国に連れていく約束を果たせた」と胸を張った。
川崎は9月20日の試合中に左足首を骨折する重傷を負った。冷静な頭脳も併せ持つ主力の離脱に、チームは練習着の胸にガムテープで「啓史を全国に連れていく」と書いで鼓舞した。だが、練習で勝負に対する強い姿勢の希薄さが解消できず、島谷監督が「青春ごっごはやめちまえ」とあえて厳しい言葉を投げかけた。その真意について「『やっぱり負けた』ということはあってはならない。自分との闘いであって勝負に向かう強い姿勢が必要」と話した。指揮官がビビりの集団と言っていたチームは「自分次第でチームは変わる。自分に自信のない子どもたちが、大会を通して成長してくれた」と笑顔で選手たちを褒めた。
(文・写真＝有岡志信)
▽第100回全国高校サッカー選手権北海道予選
第100回全国高校サッカー選手権北海道予選
