16年間指導した古巣・ふじみ野との対戦。勝利した浦和北は次戦も“運命の相手”との戦い
第100回全国高校サッカー選手権埼玉県予選1次予選1回戦。グループIでは浦和北とふじみ野が対戦し、3-1で浦和北が勝利した。
浦和北を率いる古市元喜監督にとっては、初任から16年間指導したふじみ野との公式戦初の対戦だった。
「(学校を移ってから)ちょうど3年目。なんか運命ですよね。(ふじみ野の)いまの3年生は中学生の時に練習に来ていた子もいたのですごく感慨深かった。抽選会で(同じ山に)入った時に「ついに来たか」と思いましたけど、(今回の対戦は)楽しみでしかなかったです」。
そういった中で浦和北は序盤から相手の3バックの両脇を突いて、左SHの大森尊真(3年)、右SHの川尻大輔(2年)が何度もドライブし押し込む。しかし「もっと大胆に行けるところと、自分たちで主導権を握ってというところでは、もうちょっとボールを動かせたかなと」(古市監督)。
逆にふじみ野は危なくなりそうなボールはシンプルに外に蹴り出し、セットプレーをDF辻尾瑠哉(3年)、DF深瀬颯斗(2年)がしっかりと弾き、DF安西勇太(2年)がインターセプトを決めるなど、3バックを中心に粘り強く守り、相手に大きな決定機は与えずに前半を終えた。
ハーフタイム明けも浦和北がペースを握り、ふじみ野が耐えるという形でゲームは進んだが、後半25分についにゲームが動く。途中出場のMF小野田蓮(3年)が中央に横パスを入れると、9番MF大森はひとつ持ち出して右足で丁寧にコースを突いて先制。さらに31分にはMF鬼澤琉晟(3年)のクロスをファーサイドで再び大森がヘディングで流し込んで、リードを広げた。
大森はGRANDE FCの出身。中学時代は怪我に泣いたが、もともと能力を持っていた選手。「9番は俺が現役時代につけていた番号。ふじみ野の時もそうでしたけど、9番をつける選手がうちではエース」と今年は指揮官も背負った「9」をつける中で磨いてきたフィニッシュを見せた。
2点を追うふじみ野は後半33分にMF佐藤柊斗(3年)のPKで1点を返したが、浦和北は39分に鬼澤のクロスから主将のDF西尾翔太(3年)がヘディングを沈めて3-1で振り切った。
「本当に感慨深いです。勝ってホッとしましたけど、16年間このグラウンドにいたので、なんかちょっと悲しい気持ちもある。(でもそのチームを倒すことが出来たのは)単純に嬉しいです」。
それを成し遂げたのは指揮官とともに浦和北に入学してきた選手たち。「「お前らの代から浦和北を変えていこうぜ」と、ミーティングを始めた代。「お前らが変えるんだぞ」「浦和の勢力図を塗り替えていくんだぞ」と。3年目になって、一番付き合ってきた連中なので、徐々にイズムというか、期待に応えてくれている。受験もある中でちゃんと両方見ながらやってくれている」。
代表決定戦は奇しくもインターハイ支部予選のブロック決勝で敗れた上尾南との一戦となった。「選手も俺も上尾南とやりたかった。だからやるだけです」。何か運命めいたカードを勝ち抜き、そしてもうひとつの運命めいたカードへ―。リベンジを果たし、再び自分たちで運命を切り開く。
記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登
▽第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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