「技術的にはこれまでで一番高い」。坂戸の有力代が2次トーナメントで16強にチャレンジ

 序盤から坂戸はボールをポゼッションしながら押し込んでゲームを展開したが、相手の粘り強い守備もあり、前半はなかなか決定的な場面まで持って行くことが出来ない。トップ下のMF和田礼哉(3年)は「前でFWの9番(潮田崇真)がかなり孤立いていた中でフォローになかなか行けなかったという部分で、フィニッシュの部分まで運ぶことが出来なかった」と振り返る。

 一方、与野はしっかりと守って、そこからの鋭いカウンターからMF栗原瑠聖(3年)やMF橘亮玖歩(3年)がゴールを狙うが、いずれも坂戸GK工藤悠太(2年)がストップしてみせた。

 そういった中でスコアを動かしたのは坂戸だった。後半15分、敵陣深くでフリーキックを獲得するとMF奴賀雄輝(3年)のキックにDF新田直生(3年)がヘディングを合わせて先制した。

 中盤過ぎには指揮官から「川越戦を思い出せ」の声。インターハイ支部の川越戦は先制するも、後半に失点。結果的にPK戦で勝利したが、試合の締め方に課題を残していた。それでもこの日は最後まで集中を切らさず。主将のDF神藤駿介(3年)は「同点に戻されてしまうとチームの雰囲気も悪くなってしまう。そこは新田と話し合って、絶対に0で抑えようと話していました」。

 後半ATには相手GKも参加したセットプレーをしっかりと凌ぐと、逆襲から和田が無人のゴールに流し込んでダメ押し。2-0で勝利した坂戸が4年連続の2次トーナメント行きを決めた。

 前半からボールを持ってゲームを作るなど、大久保亮祐監督が赴任し6年目となる今年は「技術的にはいままでで一番高いと思います」という期待の代。新人戦、インターハイは支部の壁に跳ね返されたが、最後の選手権でついに県大会への道を開いた。「技術的なものがどこまで通用するか。そこにうちの伝統である真面目さを融合させて県でチャレンジできればと思います」。

 選手たちも県での挑戦を楽しみにしている。昨年大会にも出場した守備的ボランチのMF上西大喜(3年)は「(昨年の1回戦・越谷西戦/0-4●は)本当に何も出来なくて、相手のFWに自由にされて悔しい想いをした。そこから毎日筋トレは欠かさずにやっていて、対人は強くなったと思います」とあの日の敗戦から大きく成長した姿を最後の選手権の舞台でぶつける構えだ。

 チームの目標はベスト16。「名もない田舎の公立チームで、進学校と言われている学校が勉強もしながら県の16校の入ったら、地域のみんなにも良い影響を与えられるんじゃないかと思う。地域のヒーローに、憧れのお兄ちゃんになれるように、と子供たちに伝えています」(監督)。ここに来てさらに良くなっているというチームは残り1ヶ月弱でもう一伸びし、本大会に臨む。

“2年ぶり”のセットプレーのゴール! 坂戸DF新田直生が値千金弾で決勝トーナメント決める

 攻め込みながらもなかなか点を奪うことが出来なかった坂戸だが、DF新田直生(3年)の実に“2年ぶり”というセットプレーでのゴールが決勝点となり、今年初の県大会行きを手繰り寄せた。

 後半15分、フリーキックを獲得すると「その前までずっと大外に入っていて、うまくボールが来なかった。(得点機は)相手もファーに引き寄せられていたので、真ん中がちょっと空いているかなと思って、いつもよりもちょっと内側目に入りました」。練習を積んできたサインプレーからMF奴賀雄輝(3年)のキックに走り込むと打点の高いヘッドでゴールネットを揺らした。

 完璧なタイミングで合わせた新田だが、セットプレーでのゴールは「もう2年ぶりくらい」。その一発をこの大一番で決めたDFは、「大事な場面で決めることが出来て嬉しかった」。指揮官も「ムードメーカーでもある」と語る新田のゴールがチームに勢いをつけたのは言うまでもない。

 守備でも相方のDF神藤駿介(3年)とともに、相手のカウンターやGKからの一発を警戒しながらしっかりとケア。また、「中学校くらいからちょっとやっていて、高校に入って急に飛ぶようになった」と、CBにコンバートされるきっかけとなったキックで攻撃の起点にもなっていた。

 選手権に向けては「まずはしっかりと1回戦を勝ちたい」。そのためにも「ディフェンスラインで守って、フィードとかで得点に結びつけられたら最高です」と攻守で存在感を放つことを誓う。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽第100回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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