あっという間の逆転劇!3年ぶりに流経大柏が全国へ

流通経済大柏集合写真(写真=小室功)

 「自分たちのミスから先制点を取られてしまったけれど、逆にそれでスイッチが入りました」(流経大柏・榎本雅大監督)

 立ち上がりからゲームの主導権を握っていたとはいい難いが、それでも相手ゴール前まで攻め込む回数が多かったのは流経大柏だった。

アイドリング状態から本格的にギアを上げかけた28分、GKデューフ・エマニエル・凛太朗(2年)が痛恨のキックミス。市立船橋のFW郡司璃来(1年)がこれを逃さず、がら空きのゴールにけり込んだ。

 失点直後、すぐさま円陣を組んだ流経大柏イレブン。動揺を隠せないGKにチームメイトが次々に駆け寄り、励ますようすがうかがえた。キャプテンの渋谷諒太(3年)が「思わぬ形から先制されたけれど、あれで緊張が解けました。ミスをしたアイツのためにも勝ちたい。そういう思いが強くなりましたね」といえば、2得点を挙げて逆転勝利の立役者となったMFの高足龍(3年)も「ドンマイって声をかけました」と笑顔で言葉を重ねる。

流通経済大柏 vs 市立船橋

【フォトギャラリー1】流通経済大柏 vs 市立船橋

 先制され、追いかけるしかない流経大柏。エンジン全開の猛攻が始まった。

 35分、左CKのチャンスからこぼれたボールに反応した高足が、ゴール前に立ちはだかる市船の選手たちの間をすり抜けるようなシュートを放ち、振り出しに戻す。

その2分後には右サイドをテンポのいいパス交換から攻略。相手のクリアボールが小さくなったところを西岡亮哉(3年)が拾い、素早くグラウンダークロスを送る。そこにフリーで待ち構えていたのが高足だ。ねらいすましたインサイドキックで、丁寧に仕上げた。

 あっという間の逆転劇だった。

【フォトギャラリー2】流通経済大柏 vs 市立船橋

 「ここまで決定機を外してばかりいて、チームを勝たせられずにいたけれど、今日は大事なところで2得点できてよかったです(笑)。CKのこぼれ球をねらうもの逆サイドからのクロスに対して外(ファーサイド)で待つのも練習どおり。(フリーだった)2点目はいい感触で打てました」(高足)

 中盤の構成力で上回る流経大柏はフレッシュな選手をピッチに送り出し、プレー強度を低下させることなく、試合を運んだ。かたや市船は得意のリスタートからまずは同点に追いつこうと踏ん張るものの、ディフェンスリーダーの田口空我(3年)を軸に落ち着きを取り戻した流経大柏の牙城を切り崩せなかった。

 「私たちにとって市船は目指すべき、大きな存在。毎年のように市船を倒して全国にいきたいと思っていたので、今回それが叶いました。最後まで足を止めなかった選手たちが本当に素晴らしかったです」(榎本監督)

 千葉県の決勝は9年連続同カードと、まさに両雄対決だ。2年連続で市船が代表権を獲得していたが、3年ぶりに流経大柏がリベンジ。「目標は日本一。千葉県にいい報告ができるようにしたい」と、榎本監督は全国への意気込みを語った。

(文・写真=小室功)

▽第100回全国高校サッカー選手権千葉予選
第100回全国高校サッカー選手権千葉予選