FW藤木皇成が勝利を決定づける3点目!近大和歌山が12大会ぶりに冬の全国へ

優勝を果たした近大和歌山イレブン(写真=前田カオリ)

 11月13日に紀三井寺陸上競技場で行われた第100回全国高等学校サッカー選手権大会和歌山大会の決勝で、3-1で初芝橋本を下した近大和歌山。冬の全国大会出場は第88回大会以来、12大会ぶりとなる。

 5分、MF北藤廉(3年)からパスを受けたMF田井寛務(3年)が先制した近大和歌山。

 後半に入った55分、MF畑下葵(2年)のロングスローをDF荒木宏心(3年)がゴールに押し込み、さらにリード。67分には初芝橋本のFW朝野夏輝(1年)が1点を返すが、76分にFW藤木皇成(3年)がループシュートを決め、3-1で近大和歌山が優勝した。

 前回大会では2-4で初芝橋本に敗れていた決勝戦。その試合に途中出場して2ゴールを挙げていた近大和歌山のFW藤木皇成は、昨年悔しさを味わっていたものの、試合前に「リベンジしようという気持ちはなかった」と話した。それよりも強く胸の内にあったのは、「自分にできることを精一杯やろうという意志とクラスメイトへの感謝の気持ち」だった。

 学校から会場に向けて出発する際、授業を中断してクラスメイトが見送りに来てくれた。授業が終わった後、そのクラスメイトたちが制服姿のまま学校から直行し、スタンドに駆けつけてくれていたのも知っていた。ゴール後はベンチに駆け込んで行ったが「その時に頭に浮かんでいたのも、クラスメイトの顔だった」と振り返る。クラスメイトの応援に「元気が出た」藤木は、望み通り自分にできることを発揮し、勝利を決定づける3点目のゴールを決めることとなった。

 藤木は「これまで試合前は固くなることが多かったけれど、今年は笑顔で元気に明るく、という感じで試合に入れた。(去年は表情が固かった)藪真啓監督も、笑顔でした」と振り返る。

 藪監督は、今年で就任8年目。これまで選手権予選の決勝戦には5度挑み、いずれも敗れてきた。就任3年目だった2016年度は、県予選を勝ち抜いてインターハイに出場。それでも選手権予選では勝たせてやることができなかったことから負い目を感じ、「自分がなんとかしなければ、と強く思いすぎる部分があったかもしれない」と語った藪監督。今年は恩師からアドバイスをもらったことをきっかけに、「選手たちを信じようと思えるようになり、選手たちへの要求も少し弱まった」。それにより昨年の試合前にはかなり厳しい表情だった藪監督が、今年の決勝では試合前から笑顔も見せ、結果、信じた選手たちが試合後に心からの笑顔を出せるよう、藪監督にとって6回目の決勝で優勝を勝ち取ってくれた。

 選手たちは全国大会未経験なだけに、「県大会決勝よりプレッシャーを感じることはないと思う。全国でもみんなで思い切って戦えれば」(藪監督)。

(文・写真=前田カオリ)

▽第100回全国高校サッカー選手権和歌山予選
第100回全国高校サッカー選手権和歌山予選