総体ベスト4の熊本学園大学付属との接戦を制した東海大学付属熊本星翔が、準々決勝進出

熊本学園大付 vs 東海大熊本星翔 (写真=井芹貴志)

 第100回全国高校サッカー選手権熊本予選4回戦、益城町総合運動公園陸上競技場での第2試合は、夏の高校総体熊本県大会でベスト4の熊本学園大付と、サンフレッチェ広島や愛媛FCで10シーズンにわたりプロとしてプレーした西岡大輝ヘッドコーチが今春から就任した東海大熊本星翔が対戦した。

 「GKからプラス1の状況を作って剥がしていくスタイル。そのために真面目にポジションを取り続け、スペースがあれば運ぶことを指導している」と西岡ヘッドコーチが言うように、自陣からボールをつないで運ぼうとする東海大星翔に対し、学園大付属は「4回戦の相手が星翔に決まった時から、守備のはめ方を確認してきた」とキャプテンのFW堤田晃基が話す通り、立ち上がりから積極的に前線プレスをかけ、また早い出足のインターセプトで引っかけるなど組み立てを阻み、逆にボールを奪ったらシンプルにサイド、あるいは背後へ配球して攻め込む。

 東海大星翔はプレスを回避するロングフィードを織り交ぜて前進を試みるが、風下の状況もあってなかなかボールが前に入らず。お互いに球際も激しくミドルゾーンでの奪い合いが続いたため、前半の飲水タイムまでは双方ともにチャンスらしいチャンスはほぼない、緊張感のある展開となった。

【フォトギャラリー】熊本学園大付 vs 東海大熊本星翔

熊本学園大付 vs 東海大熊本星翔 (写真=井芹貴志)

 再開後はゲームが動き始め、まず25分、インターセプトから学園大付属のFW高野蓮が狙うも枠外。続く30分には、東海大星翔が左からMF杉野嵐が持ち込みチャンスを作る。その後32分、35分と学園大付属がコーナーキックを得たが得点には至らず、逆に37分、東海大星翔は左サイドでMF上田さくらが起点を作ると、深くえぐって最後はFW田上廉太郎が狭いところからニアに流し込んで先制。1点リードで折り返した。

 後半、追う学園大付属は43分にMF中井択海のクロスから、45分にはカウンターからもうひとりのキャプテン・FW吉村英隼が持ち込んでコーナーキックを得る。しかし東海大星翔はGK田中太基、キャプテンのCB伊形侑真ら守備陣が落ち着いて跳ね返し続けると共に、先手を取った交代で中央やサイドに突破力のある選手を投入、徐々に流れを引き寄せていく。

 61分、交代出場のFW廣松葵が中央で抜け出して学園大付属GK田代健との1対1に持ち込んだが、オフサイドで追加点ならず。しかし飲水タイム後の67分、右サイドから細かくつないで上田が押し込み2-0。その後、学園大付属も終盤にかけ反撃に出たが、東海大星翔が逃げきった。

 総体のベスト4を上回る結果は残せなかったものの、「練習してきたことを出して、狙いを持ったゲームはできた」と話すのは学園大付属の厚晴仁監督。夏のメンバーから一部の3年生が引退、チームづくりに苦しんだというが、「新たに入った選手も力をつけて、手応えのある試合はできた」と振り返る。コロナ禍で練習試合やリーグ戦が戦えない中、部内で選手たちが工夫して様々なタイプの相手を想定したシミュレーションをするなど、「人間的な面も成長」(厚監督)できたこと、そして今年度の経験は、新チームへ引き継がれるだろう。

 ベスト8へ駒を進めた東海大星翔の西岡ヘッドコーチは「3回戦でも、立ち上がりにつまづいてスタイルを出すまでに時間がかかった。今日も相手にチャンスボールを与える場面が多かった」と厳しく評価する面もある一方、「3試合連続で失点していないことは評価できるし、大会の中で成長速度を上げようと選手たちには話している」と、第96回大会以来となる2度目の全国出場に1歩近づく勝利となった。

(文・写真=井芹貴志)

▽第100回全国高校サッカー選手権熊本予選
第100回全国高校サッカー選手権熊本予選