佐世保実の堅守に苦しめられながらも、長崎総科大附が2-0で勝利

勝利した長崎総科大附イレブン(写真=藤原裕久)

 高校サッカー界のカリスマ、小嶺忠敏監督に率いられた県高総体王者の長崎総科大附。井筒和之監督就任後に着実に実力を蓄え、2回戦では九州文化学園との県北最強対決を制して勝ち上がってきた佐世保実。10月30日の第100回全国高校サッカー選手権長崎県大会3回戦では両校が対戦し、佐実の堅守に苦しめられながらも、長崎総科大附が2-0で勝利し翌日の準々決勝へ進出した。

 立ち上がりから、個で上回る長崎総科大附は、最終ラインの児玉勇翔・永田樹からの前線へのフィードや、牧田陽太・芦高佑・西岡紫音が、サイドや裏を狙って素早く攻めてペースを取っていく。しかし佐実は試合後の井筒監督が「今のウチが長崎総大附属さんに勝つには、これしかない」と語った前線から最終ラインまで全員が体を張っての全員守備で対抗。長峰聖和・山下大地のCBと永田優成のGKを中心とした守りで、長崎総科大附の攻撃をくい止めていく。

佐世保実vs長崎総科大附(写真=藤原裕久)

 「0-0で行けば相手が焦れてミスも出てくる」という井筒監督の読みどおり、思うように攻めきれない長崎総科大附は、22分の決定機を西岡が外し、後半に竹田天馬が迎えたGKとの1対1のシーンでもシュートが枠を逸れてノーゴール。だが会場に番狂わせの予感を漂わせた佐実の健闘は60分にCB長峰がまさかの負傷退場で大きく狂ってしまった。このアクシデントの3分後、長崎総科大附は途中出場の石山風吹がゴール前の混戦から押し込んで先制点を奪取。66分にもコーナーキックから永田樹が追加点を決めて、ここで勝負あり。そのまま長崎総科大附が2-0で粘る佐実を退けた。

 3回戦から出場となる長崎総科大附にとっては、大会初戦特有の難しさを味わう試合となった。あるいは佐実の長峰が負傷退場しなければ、別の結果となる可能性もあったかもしれない。だが大会初戦でなければ、西岡や竹田が決定機を外す可能性も低かったはずで、そのあたりを考えると、初戦特有の緊張感を乗り越えた長崎総大附属を称えるべきだろう。

 しかしまだ大会は3回戦である。コロナ禍でトレーニングや対外試合の制限の続いた期間が長く「相手ももちろん、自分たちの力も量りきれない(井筒監督)」という中での勝負は、ますます過酷さを増す。常勝で知られる小嶺監督率いる長崎総科大附といえど、全国への道のり決して容易くはない。選手権への道がいかに厳しいか、あらためて感じさせられた一戦だった。

(文・写真=藤原裕久)

▽第100回全国高校サッカー選手権長崎予選
第100回全国高校サッカー選手権長崎予選