5人のキッカー全員が成功させた奈良県が和歌山県に勝利

奈良県・少年男子vs和歌山県・少年男子(写真=森田将義)

 第76回国民体育大会サッカー競技 近畿ブロック大会は、6日に1回戦を実施。奈良県・少年男子と和歌山県・少年男子の一戦はPK戦で奈良県が勝利し、7日の代表決定戦へと駒を進めた。

 立ち上がりは、MF金城笙(大阪桐蔭)が「中盤の選手が全員ボールを持てるので、いなしたり、コンビネーションでチャンスを作ろうと考えていた」と話す通りの形で奈良が主導権を握った。中央での連携からサイドに展開し、右のMF宮崎一輝(桃山学院)と左のMF杉田理人(興國)がサイドを果敢に突破。前半3分にはMF磯貝新之助(奈良育英)のパスをPA左で受けた杉田が切り返しから、ゴールを狙ったが、枠を捉えることができない。続く7分には自陣からのフィードをFW玉井把玖(阪南大)が見事にコントロール。後方に落として、宮崎が放ったミドルシュートがゴールネットに突き刺さり、奈良が先制した。

 早い時間に先制したものの、以降は「ボールを持ちながらもチャンスが作れなかった」(金城)。左からチャンスを演出した杉田は、「シュートが下手すぎて、チームに迷惑をかけた。自分が外したせいで、PKまで行ってしまった」と続ける。好機を活かせないまま試合が進むと次第に流れは、和歌山に傾き始めた。25分にはMF朝野夏輝(初芝橋本)がボールカットから、相手DFの背後へと配球。FW大園一柊(初芝橋本)が鋭い飛び出しで、ゴールへと迫ったが、ボールはGK西田宗太郎(近大附)が先にセーブした。

奈良県・少年男子vs和歌山県・少年男子

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 後半に入ってからは、「後半に入る時に全員で声を出して自分らのペースに持っていこうと話した。一人ひとりがボールを繋いでゴールに迎えるようになった」(朝野)と和歌山の勢いが更に加速する。後半12分には相手エリアの左中間で受けたMF石川青蘭(初芝橋本)が切り返しで、相手を剥がしてスルーパス。FW奥村大翼(和歌山北)が鋭く走り込んだが、再び西田に阻まれた。15分には、前線でボールをおさめた奥村のスルーパスから石川がPA左ヘの抜け出しに成功。冷静にゴール右隅に流し込み、同点に追いついた。

 直後の16分には右を抜けた朝野のクロスをMF岩瀬悠人(和歌山北)がボレーで合わせたが、オフサイド。28分にはDF西本真梧(初芝橋本)が入れた長いスルーパスから、右サイドの朝野が抜け出し、シュートを放ったが相手に当たりCKに。追い付いてからの和歌山は再三のチャンスを作ったが、勝ち越し点は奪えない。

 我慢の時間が続いた奈良は、金城が「追いつかれて難しい試合になったけど、全員の心は折れていなかった」と振り返った通り、辛抱強く2点目を与えない。後半終了間際に与えたCKの場面もオフサイドに助けられ、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。

 PK戦では、奈良の西田が2本目のキックを見事にストップ。5人のキッカー全員が成功させた奈良が勝利し、7日に行われる代表決定戦へと進んだ。中盤で勝利に貢献した金城が、「京都はもちろん強いと思うので、このままの波に乗りたい。雑草精神、チャレンジャー精神で勝ちに行きたい」と話した通り、次戦も勝利を掴み、全国行きを決めるつもりだ。

(文・写真=森田将義)