前半に2得点を奪ったU-17日本代表が広島県高校選抜U-18に勝利

U-17日本代表FW南野遥海(写真=森田将義)

 HiFA平和記念 2021 Balcom BMW CUP 広島ユースサッカーは10日に大会2日目を実施した。広島広域公園第一球技場で行われた第1試合では、広島県高校選抜U-18とU-17日本代表が対戦。前半に2得点を奪ったU-17日本代表が勝利した。

 本来ならばAFC U-16選手権を戦うはずのU-17日本代表だが、新型コロナウイルスの感染拡大により、各種大会が中止に。昨年は候補合宿を4度行ったが、公式戦は8月に行ったSBSカップドリームサッカーのみとなった。経験不足の代にとって今大会は、貴重な大会であり、「素晴らしい運営と雰囲気がある。かなり緊張感のある舞台を作ってくださった広島県サッカー協会と運営の先生方に感謝したい。初戦や複数得点で勝つ重要性などリーグ戦の戦い方を学んで欲しい」(森山佳郎監督)とグループリーグを想定して今大会に挑んだ。

 初戦の鳥栖U-18戦を2-0で制して、挑んだ2日目は序盤からU-17日本代表のペースで進んでいく。キーとなったのは、CB陣が怪我のため、本職ボランチながら最終ラインに入ったMF坂井駿也(鳥栖U-18)、MF大関友翔(川崎U-18)とMF下田栄祐(鹿島ユース)のダブルボランチ。「相手の出方に応じて、自分たちのボールを保持していこうと試合前に話していた」(坂井)と落ち着いてボールを動かし、相手の変化を見ながらサイドとFWへの配球を上手く使い分け、見せ場を作っていく。前半4分には連携で左を崩し、FW内野航太郎(横浜FMユース)のパスから、下田がシュートを放ったが、クロスバーをかすめて枠の外。8分にはFW南野遥海(G大阪ユース)のタメから、右を上がったDF矢口駿太郎(千葉U-18)がクロスを上げ、ファーのMF越道草太(広島ユース)がヘディングシュートを放った。

 22分には、下田のスルーパスから内野がPA左を突破。ゴール前に入れたパスに南野がスライディングで反応したが、わずかに合わず。再三チャンスを作りながら、1点が遠い展開となり、南野は「決めきれるチャンスを外して、流れを難しくしてしまった」と振り返る。それでも、26分には、ファーに流れた右CKをDF杉田隼(横浜FCユース)がヘッドで折り返し、南野が頭で合わせて先制に成功。36分には坂井の右CKから放った杉田のヘディング弾がオウンゴールを誘発。「デカい選手、ヘディングが強い選手がいるのでセットプレーから獲ろうと話していた」(坂井)形通りに2点リードで試合を折り返した。

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広島県高校選抜U-18 vs U-17日本代表(写真=森田将義)

 DF倉和也、MF田部健斗ら広島皆実高勢の奮闘が見られた広島県高校選抜は前半、思い通りにボールが奪えず耐える展開を強いられた。だが、後半も持たれる時間が続いたが、後半7分には中盤でボールを奪ったDF土屋英翔(広島国泰寺高)のパスを受けた田部がカットインからシュートを放つなど、反撃のチャンスを伺い続けたが、1点が遠かった。終盤のU-17日本代表は、GK以外のベンチメンバーを全員投入。推進力に長けたMF安藤阿雄依(清水ユース)らの突破からゴールに迫ったが、3点目は奪えず、タイムアップとなった。

 U-17日本代表にとって、緊張感のある試合を経験できているのは大きな収穫。「コロナ禍でも、こういう大会をさせてもらえるのは感謝しなければいけない。こういう時だからこそ、自分たちがサッカーで勇気を与えられたらと思いながら、プレーした」(坂井)。「海外に行くチャンスがなくなった中で、公式戦の舞台を作ってくださったことに感謝したい。練習試合と違って、ユニフォームに日の丸がつくので、モチベーションが上がる」(南野)。唯一の2連勝で挑む最終日は勝てば優勝が決まる一戦。坂井が「広島ユースは本当に力があるチームだけど、日本を背負っているからには絶対に負けちゃいけない。そういう覚悟を持ちながら、戦いたい」と意気込む通り、代表としての意地を見せる。

(文・写真=森田将義)