FC東京U-15むさし、サガン鳥栖U-15をPK戦の末に下し悲願の初V
優勝を果たしたFC東京U-15むさし
創設18年目にして、夏冬通じて初の日本一を手にした。
8月24日、日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会の決勝が北海道の帯広の森陸上競技場で行われ、FC東京U-15むさしはサガン鳥栖U-15と対戦。0-0で迎えたPK戦を制し、悲願の初優勝を勝ち取った。
FC東京U-15むさしは序盤から主導権を握り、相手のプレスをうまく外しながら攻撃を組み立てていく。主将・MF佐藤龍之介(3年)の縦パスや左MF川村陸空(3年)のドリブル突破を起点にチャンスを作り、ゴール前でもFW山口太陽(3年)が積極的に左足でゴールを狙った。無得点で迎えた後半は守備のテコ入れを行った鳥栖のプレスにハマる場面が増加。前半ほど思うようにボールを運べなかったが、それでも川村や山口が積極的に仕掛け、相手ゴールをこじ開けにかかる。しかし、無得点に終わり、試合は10分ハーフの延長戦に突入。
ヒーローになったGK小林脩晃(写真=松尾祐希)
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延長戦はショートカウンターやセットプレーからピンチを招き、鳥栖のFW山﨑遥稀(3年)に決定機を作られる場面もあったが、GK小林脩晃(3年)を中心に身体を張った守備で相手に得点を許さない。延長後半終了間際にはCKから山﨑に決定的なヘディングシュートを撃たれたが、バーに助けられてことなきを得て勝負の行方はPK戦に委ねられた。
迎えたPK戦。ヒーローになったのが、GKの小林だ。4本目まで互いに成功した中で5本目の渡邊翔音(3年)のシュートを足でストップ。その後のキックを佐藤が成功させ、ピッチに歓びの輪ができた。
FC東京として優勝したのは、深川とむさしの2チーム体制になる以前の2003年が最後。また、深川は冬の高円宮杯U-15で過去に3度優勝しているが、むさしは夏冬通じて初めての戴冠となる。最も優勝に近づいた2015年度のクラブユース選手権も当時中学校2年生の久保建英を擁しながら、ファイナルで敗れた。何度も悔しい想いを味わいながら、ようやく迎えた歓喜の時。チームを率いる北慎監督は、「深川も高円宮杯で3度優勝しているけど、むさしは高円宮杯もクラブユースも準優勝が最高だった。今回、むさしの新しい歴史を築いていこうという選手の強い気持ちが現れたと思う」と初めての偉業を成し遂げた選手たちに賛辞を送った。
しかし、忘れてはならないのが、FC東京U-15むさしの力だけで結果を残せたわけでもない点だ。そうした今までの歩みを振り返り、指揮官はFC東京U-15深川と切磋琢磨しながら成長できた点が大きかったと話す。
「深川といい競い合いができた。FC東京の中に2つチームがあるメリットですし、お互いに選手育成という視点で見たら、結果云々ではなく、選手の質を高めていきたいというクラブの取り組みが現れた結果」
FC東京として積み上げてきた取り組みの成果が現れた今大会。この先、U-18チームに全員が昇格できるわけではないが、U-15年代で学んだことは必ず選手の未来を築く礎になる。夏の日本一を手にしたFC東京U-15むさしを経て、夏の日本一を手にした選手たちがどのような成長を遂げていくのか注目だ。
(文・写真=松尾祐希)