鵬翔vs長崎総科大附

 ビハインドを負った鵬翔は後半の頭からスピードのある近藤逸月を投入。縦のカウンターに斜めのボールを織り交ぜて反撃を狙うが、長崎総科大附の守備は崩せぬまま。しかし61分ピッチ中央でボールを持った佐藤が、GKの位置を見て素早くシュート。ボールは長崎総大附属のGK亀井一起の頭を越えてゴールイン。このスーパーゴールで1-1の同点に追いついた鵬翔は、勢いにそのままに64分には近藤が追加点を決め、後半に強いという評判に違わぬ戦いぶりで逆転することに成功する。一方、同点とされてから目に見えてミスの増えた長崎総科大附は、ロングボールの精度が落ち、後ろに重い形となって攻撃が停滞。鵬翔のカウンターに攻め込まれ、押し返すことができないまま1-2で試合を終了。鵬翔が長崎総大附属を下してプリンス昇格のかかる2回戦へと進出した。

 前半終了時に、誰もが長崎総科大附が勝利すると感じたゲームを、佐藤颯之介の同点弾が一気にひっくり返したゲームだった。それまでほぼ問題なくゲームを進めていた長崎総科大附だが、失点後は明らかに浮き足だち、前半とは別のチームのようにミスが増えてしまった。一つのゴールが試合の流れや相手の勢いを変えたという意味で、あらためて1点の重みと怖さを感じさせた試合と言えるだろう。そしてそんな一撃を呼んだのが、鵬翔最大の武器である「カウンター」へのこだわりだった。頼るべき武器を持ち、それを信じて徹底する。そんな鵬翔のまっすぐさが勝利をたぐり寄せた一戦とも言えるだろう。

(文・写真=藤原裕久)

▽高円宮杯 JFA U−18サッカーリーグ2021プリンスリーグ九州 プレーオフ(参入戦)
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