攻撃的な守備も目立った(写真=佐藤亮太)
前述にある川崎の守備とはなにか。そのヒントを『守備の目を合わせる』と表現した。
「ボールを奪えるのかどうかジャッジすること。奪いにいって剝がされてはピンチを食らってしまう。では、どこで構えればいいのか。そのあたりは選手の判断に任せている。前は行って、後ろは構えるなどバラバラにならないように共有している」。
この試合でも、時にミスを誘発させながら、プレスをかけ続け、ボールを複数で絡め取り、味方につなげる。PKを含めた3ゴールはいずれもショートカウンターからの得点。即時奪回、即時攻撃がタイムラグなく繰り返され、FC東京U-18を自陣に押し込んだ。
そのなか、殊勲の2得点を挙げたFW20岡崎について、「練習から得点にこだわっている。ボールを持ったら仕掛けていくことを周りに認めさせている」と評価。この言葉通り、岡崎は両チーム最多5本のシュートを放った。
その岡崎、1点目となったPKは「相手GKの足が動かなかったので」と冷静に見極め、2点目は得意の胸トラップからのゴール。2点目の直後、神に祈るように両ひざを突き、両人差し指を天にさすゴールパフォーマンスを披露。「普段から見ていたので思わず出てしまった」と喜びもひとしおだった。
また岡崎の「相手の攻撃に対してFWからボールを奪いにいくことでボランチ、CBがつながっていく。後ろの選手が奪ってくれる安心感があるのでしっかりプレスをかけられる」というコメントからも、攻撃的守備が川崎の生命線であることがわかる。
最後に気になるのは、『寅太郎』という名前。聞けば、父親が野球をやっていたということで『さては……』と思いきや、母親が阪神ファン。しかし由来は別にあった。
下町生まれということで映画「男はつらいよ」の車寅次郎からつけられたとのこと。「学校ではトラと呼ばれ、人から覚えられやすく気に入っている」と岡崎。
現在、チーム内トップの7ゴールを挙げ、得点ランキング3位。「フーテンの寅さん」ならぬ「川崎の寅さん」がゴールを量産する。
(文・写真=佐藤亮太)
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