ゴール前の競り合い(写真=森田将義)

 エンドが変わった後半は完全に鹿児島城西のペース。6番MF小堀優翔と10番MF原田天のダブルボランチを中心にDF裏を突いた鹿児島城西に押し込まれた。何とかボールを奪って、相手陣内へと攻め込んでも、不用意なミスでボールを失い、2点目が奪えない。後半18分には、13番MF是枝大翔のクロスが、ゴール前にこぼれた所を3番DF田中和斗に押し込まれた。

 窮地に追い込まれた神村学園を救ったのは、まだ入学前の中学3年生である10番FW名和田我空。「名和田がボールを触っている時はリズムが良い」と栢野裕一コーチが評する実力者で、前日は2試合連続ゴールをマークしたが、この日は疲労を考慮し、前半終了間際からの出場となった。後半開始直後のチャンスは活かせなかったが、30+3分には笠置からのパスを相手のギャップで受け、「最初はシュートを考えましたけど、パスの方が絶対に有利だと思った」名和田は右前方に展開した。走り込んだ3番DF有馬康汰のゴール前にクロスを入れると、名和田は4番DF田中惇と共にゴール前で反応。GKと混戦となり、こぼれたボールを7番MF平木駿が押し込み、同点に追い付いた。土壇場での同点弾は名和田の働きと共に、「2試合目でみんなきつかったと思うけど、ゴール前に走り込んで、ニア、真ん中、ファーへと入っていけたのが得点に繋がった」(笠置)形でもある。

 迎えたPK戦では、準決勝の国見戦でもキックを止めた1番GK廣川豪琉が活躍。2人目と6人目のキックをセーブし、2-2(PK5-4)での勝利に貢献した。今大会、ゲームキャプテンを務めた笠置は試合後、「塁と師王がいない中での戦いで、得点力不足に陥ったり、チームとしての雰囲気がマイナスになった部分もあった。その中でも、自分たちでしっかり鼓舞しながら、勝ち切れたので、2人が帰ってきてからも頼らない戦いができれば、2人が自分の仕事に集中できる。自分としては勝ってホッとしました。勝てて良かったですけど、まだまだです」とコメントした。

(文・写真=森田将義)

▽2022 九州高等学校サッカー大会~九州はひとつ~
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