東京Vユースの守備陣は粘り強く無失点に抑えた(写真=多田哲平)

 対する東京Vユースは前半、プレスを剥がそうとするも前になかなか運べず、度々ショートカウンターの餌食となった。ただ相手の圧力に苦しみながらも、GK12磐井稜真(2年)、DF4武田絢介(3年)、DF18栗原大(2年)を中心にピンチを凌いでいった我慢強さが、結果的に大きな影響を及ぼすことになる。

 東京Vユースを率いる中後雅喜監督は以下のように振り返る。

 「前半に失点しなかったのは非常に大きい。ここ数試合の勝てていない時は先にああいう時間帯で点を取られたり、ボールを握りながらもセットプレーやカウンターで点を失うことが多かった。今日は上手く我慢できたかなと思います」

 そうした我慢を経て、転機は45+3分に訪れた。カウンターで敵陣に進入すると、相手MF土谷の2度目の警告を誘発させる。これで11人対10人の数的優位となったのだ。

 後半に入ると東京Vユースはペースを握り返し、48分にスコアを動かす。敵陣中央でパスを受けたMF10新鉄兵(3年)が右足を強振。パワフルショットをゴール右上に叩き込み、先制点を奪った。

 その後、東京VはアンカーのMF5佐藤陽輝(3年)のゲームメイクやFW9白井亮丞(2年)のポストワークを活かして試合を上手くコントロールしていった。

 ただし中盤のコンダクター土谷を失ったとはいえ昌平の力強さは脅威だった。68分には途中出場のFW17伊藤風河(3年)に力強いドリブルでゴールに迫られ、73分と74分には篠田に切れ味鋭い突破を許した。いずれも失点には至らなかったものの肝を冷やしたシーンだった。

 すると、そうした昌平の反撃をはねのけた先の90+3分。1点目と同じように敵陣中央でボールを持った新がまたも右足を一閃。強烈ミドルを今度はゴール右下に決め込み、追加点を奪取。これで勝負あり。

 東京Vユースに5試合ぶりの勝利をもたらすと同時に昌平に今季初黒星をつけさせたのは、背番号10の衝撃的な2発だった。

(文・写真=多田哲平)

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