試合後の両チーム

 前半残り10分を切ってからは、完全に姫路のペースに。「攻撃は良い距離で出来る時がある。その時はワンタッチでポンポンと繋げるので、それをサイドに当てたら相手がサイドに振られる。そうしたら真ん中が空いて、そこを崩せると思っていた」。後藤がそう振り返ったように息の合った連携でサイドを崩していく。35分には7番MF井上龍司(エストレラ姫路FC U-18)のタメから、大外を上がった21番MF木村涼誠(琴丘)が中にパス。後藤がゴールを狙ったが、枠を逸れた。36分には6番MF菅原悠太郎(琴丘)が、8番MF榮井虎太郎(エストレラ姫路FC U-18)との連携で前進し、ミドルシュートを放ったが、ダメ押しとなる3点目は奪えなかった。

 上手く行かない時間が続いた大阪だが、ズルズルと引きずった前日とは違い、この日は上手く気持ちを切り替えた。その理由は、ハーフタイムでの言葉。主将を務めた1番GK木下仁人(大体大浪商)はこう明かす。「今日が誕生日だった藤井叶希のために、誕生日プレゼントをあげるつもりで、後半巻き返そうとみんなで話した」。

 後半開始と共に行った2トップのメンバーチェンジも効果的だった。「前半は自分が出た時にどうするか考えながら、ベンチから見ていました。負けていたので、自分が途中から出て、やるしかないという思いでピッチに入りました」と話すのは、MF天埜で、積極的に相手エリアのスペースへと飛び出し、見せ場を作った。後半26分には空いた右サイドのスペースを仕掛けた天埜が中央へと方向転換し、放ったシュートが決まり、同点に。直後の27分には、天埜がPA左から入れたボールを11番MF關口勇斗(関西創価)がダイレクトで合わせて、勝ち越しに成功した。32分には左サイドから入れた3番DF宮本陸翔(生野)のロングスローがオウンゴールを誘発し、4-2でタイムアップを迎えた。

 プレミアリーグやプリンスリーグのチームに勝てず、普段はなかなか陽の目を浴びないチームの選手が多いが、大阪2種選抜にはキラリと光る個性を持った選手が数多くいた。すぐにプロは難しくて、大学などこの先で個性に磨きをかければより多くの人から注目されそうな選手もいた。今大会で挙げた一勝は彼らの経験と自信となり、今後のサッカー人生に活きてくるはずだ。

(文・写真=森田将義)

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