先制ゴールを決めたMF佐藤瞭丞(写真=多田哲平)

 後半に入ってからも浦和南のロングボール主体の攻撃に苦慮。処理を間違えれば失点に直結するような危険なシーンを度々作られる。

 それでも正智深谷の守備陣は安定していた。DF3岩崎佑槻(3年)、DF4小屋結世(3年)のCBコンビがブロックを統率し、左SBのDF5冨岡佑太(3年)、右SBのDF2宮﨑建吾(3年)が粘り強く相手に対応し、突破を許さない。

 そして、そのまま試合は80分を終えても、さらに延長戦に入っても決着がつかず、PK戦へと突入。そこで存在感を示したのがGK1望月奎杜(2年)だった。

 望月は浦和南の2人目のキックを止めると、4人目のシュートもストップ。PK戦を4-2で終え、正智深谷を勝利に導いた。

 正智深谷の小島時和監督は「PK戦に入る想定はしていて、ビビらないように準備はしていました。(GKの望月は)練習でも良い感じで止めて、部員からも信頼が出てきているので、止めるんじゃないかなという気はしていました」と殊勲者を称賛する。

 また「ただ、望月もよく止めましたが、一発目の岩崎が先制してスタートできて有利に立てたし、2本目の大事なところでキャプテン(小屋)がしっかり決めてくれた。一人ひとりが責任を持って決めた結果、望月が2本目を止めたのだと思います」と緊張する場面で仕事を果たした選手たちも労った。

 チーム一丸で接戦を制した正智深谷は、4月27日の準決勝で武蔵越生と対戦する。

 敗れた浦和南も、ハイボール主体の攻撃で何度も正智深谷のゴールに襲い掛かった。ロングボールのターゲットとしても機能しながら、豊富な運動量と確かな技術を見せつけたFWの立沢や、的確なカバーリングでピンチの芽を摘んでいたDF20齋藤旺徳(2年)とDF5古市颯真(3年)のCBコンビ、ファインセーブを見せたGK1金悠聖(2年)のプレーには見応えがあった。

(文・写真=多田哲平)

▽令和4年関東高校サッカー大会埼玉予選
令和4年関東高校サッカー大会埼玉予選