大宮南のFW10鈴木優人は先制点を決めるなど武南を苦しめた(写真=多田哲平)

 「冬休みの強化期間中に何度もやってきたじゃないか。こういう場を経験して理解しろ。こういう展開にならないように自制心を持って、自分たちでコントロールしろ」

 そうした指揮官の言葉に発奮した武南の選手たちは、後半に入り、リズムに緩急をつけながら、より攻勢を強めていった。

 巧みなテクニックで大宮南のプレスを鮮やかにかわし、グングンと進攻する。

 大宮南の堅い守備をこじ開けたのは10分だった。MF10松原史季(2年)のシュートのこぼれ球をMF9櫻井敬太(3年)がすかさず拾いシュート。これがゴールに突き刺さった。

 その後も、追撃弾を狙う武南は、攻めの手を緩めない。

 14分には右SBのDF21江川颯軌(3年)のクロスから左SBのDF2加藤天尋(3年)が合わせるなど両SBの効果的な攻め上がりを活かしながら波状攻撃を展開。17分にはFW杉沢が再び鋭いシュートを放つ。さらにはCKから立て続けに大宮南ゴールを脅かしていった。

 そして33分、CKのチャンスでゴール前のスクランブルを生みだすと、オウンゴールを誘発。ついにスコアをひっくり返してみせた。

 その後、武南は終盤に、セットプレーやFW13関根悠太(3年)のドリブルなどから決定機を作られたものの、これを凌ぎ切った。

 逆転勝利を収めた武南は、見事に4強入り。準決勝で東京成徳大深谷と対戦することになった。

 もっとも、最後まで格上を苦しめた大宮南の戦いぶりも称賛に値するものだった。柔軟なポストワークと素早い抜け出しでカウンターを牽引し続けたFW鈴木、32分に武南のMF櫻井の渾身の右足シュートを食い止めたDF三好、また前後半合わせて18本のシュートを浴びながら何度もビッグセーブを披露したGK1熊倉歩夢(3年)らの奮闘は素晴らしく、敗れはしたものの、自信を深めたはずだ。

(文・写真=多田哲平)

▽令和4年関東高校サッカー大会埼玉予選
令和4年関東高校サッカー大会埼玉予選