市立浦和 vs 武蔵越生(写真=河野正)

 ここまでの2試合で6得点の武蔵越生は後半3分、MF安西歩夢が強烈なミドルシュート。惜しくも左に外したが、1分後にも右足ボレーでパンチ力抜群の中距離弾を放つと、相手DFに当たって先制シュートがゴール右に決まった。20分には植田がGKと1対1になったが、仕留められず加点はならなかった。

 市立浦和は相手のGK関根拓郎や主将のDF沼田大知らを中心とする堅ろうをなかなか打ち破れず、絶好の得点チャンスを迎えられないまま、試合終了間際まで追い詰められた。ところが4分あった後半のアディショナルタイムが3分20秒を過ぎたその時だ。左から林隆が切れ味鋭いドリブルで敵陣深くまで進入。後半途中から出場したMF石田凛が起死回生の同点シュートを蹴り込み、延長戦に突入した。

 両チームとも延長の20分間では得点できず、PK戦にもつれ込んだ。先蹴りの武蔵越生は先頭から4人目まで成功し、GK関根が市立浦和の1番手のシュートを阻止。武蔵越生は4-3からの5人目、安西が確実に沈めて5-3で決着した。

 勝利が確実な情勢から追い付かれただけに、嫌なムードに包まれる恐れもあった。しかし昨季から指揮を執るOBの井上精二監督は、「延長に入る前も負けているわけではないし、ここからが勝負と言い聞かせました。後ろ(守備陣)がよく耐えて粘り強くやってくれました」と冷や汗をかきながらの4強進出とあり、喜びもひとしおだ。

 準決勝の相手、正智深谷とは4月9日のS1リーグ第2節で対戦し、0-1で敗れているが、指揮官は「失うものはないし、いつものように粘り強く戦うだけです」と謙虚な姿勢の中にも闘志をたぎらせた。

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▽令和4年関東高校サッカー大会埼玉予選
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