武蔵越生 vs 東京成徳大深谷(写真=河野正)

 新型コロナウイルスによる影響は今年も続き、2月の練習は週2日に短縮し、平常に戻ったのは3月10日からだ。昨年から指揮を執る卒業生の井上精二監督は「そんな状況もあって50パーセントくらいの出来ですかね」と現在のチーム状況を説明すると、「昨年も今頃はメンバーでなかった子が、秋には主力に成長しましたから」と本格的な強化はこれからであることを強調した。

 それでもチームづくりは粘り強く、タフで、あきらめないという条件が必須であることは今季も変わりはない。昨秋の第100回全国高校選手権埼玉大会3回戦では、絶対的な優勝候補だった昌平の猛攻を粘り強く忠実な守りでしのぎ、1-0で倒す殊勲の勝利を挙げている。

 「声を掛けるとか、球際で頑張るとか、技術(の巧拙)に関係なくやれることは必ずやらないといけません。あとは自分の武器を持つこと、出すことです。武器の集合体がチームの強みになりますから。辛抱強く試合を進め、チャンスを得点に結びつけるチームをつくっていきたい」

 井上監督が目指すのは、持久戦に強さを発揮できるチームだ。

 監督とコーチを長年にわたって務め、昨年は総監督だった西澤浩一さんが今季からGMとなり、総勢8人のスタッフで指導に当たる。2016年9月には人工芝グラウンドも完成し、恵まれた環境下で悲願の選手権出場を目指している。

 この日先発した4人の守備ラインは、現時点でのベストメンバーで前線には個性豊かな選手がそろう。快足の荒関龍と万能型の植田空が2トップを組み、1得点した笛はパンチ力のあるシュートが持ち味だ。

 S1リーグでは「早くスピード感に慣れてほしいですね。目標は残留です」と控えめながら、「キャプテンの沼田を中心に2、3年生はサッカー好きで素直な子がたくさんいます。選手権優勝を今年最後のゴールにできたらいですね」と井上監督は口元を引き締めた。

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