星稜は山下陸の得点で一矢報いるも、逆転に至らず(写真=多田哲平)

 そして後半に入っても、丁寧にボールを回しながら、星稜の隙を見つければ、すかさずピンポイントの裏パスで相手のゴールを脅かしていった。

 37分に土谷のFKのこぼれ球に反応した小田が反転シュートで2点目。さらに53分にはCBのDF5石川穂高(2年)のパスに抜け出して再びGKとの1対1を迎えた篠田が、冷静にゴール右に流し込み3点目。

 序盤は思うようにいかない展開でも迅速で的確な策で流れを引き寄せる、天晴れの試合運びだった。藤島崇之監督は「最初の入りは星稜さんの勢いというかプレスの速さ、距離感など、相手の良さが際立ってしまった。ただ修正しながら、キャプテンの津久井を中心に粘り強くやれたと思う。攻撃でも、つないでボールを動かしながら、相手が早くプレスをかけてくるぶん背後も狙うスタンスも持ち合わせながらやれたのが、ひとつ得点につながった」と試合を分析した。

 後半アディショナルタイムの70+3分に山下に1点を返されたものの、見事に勝ち切り3回戦進出。翌26日の3回戦ではベスト8を懸けて日章学園(宮崎)と相まみえることになった。

 かたや星稜も敗れたはしたものの、万能型の山下や、機動力とテクニックを兼備するFW7福島元基(3年)を中心に最後まで反撃し続けた姿勢は素晴らしかったし、昌平の出端を挫いた攻守における連動性には組織力の高さを感じさせた。DF6高橋大空(3年)のロングスローや序盤のセットプレーでゴールを奪っていれば、また違う展開になっていたかもしれない。そう感じさせる戦いぶりだった。

(文・写真=多田哲平)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
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