中京大中京の歓喜の輪

 なおも勢いは止まらない。60分に溝口が追加点を奪うと、66分には松崎がゴール前でDFを一人交わして右足一閃。ゴールのニア上を打ち抜き、リードを4点に広げた。2年生FWの松崎は、左右両足で豪快に2得点。利き足は右足だが、「左足でも決めることが多い」と話す。そのシュートテクニックだけでなく、184cmの長身を生かしたポストプレーや、裏への抜け出しも武器。鈴村監督が「できることが多い」と評する万能型だ。

 しかし、本人は「前半は不甲斐ないプレーしかなかった」と省みる。立ち上がりから思うようにボールに絡めず、リズムを作り出せなかったのも事実だった。その中でも結果を残せたことで、試合後には安堵の表情を浮かべていた。また、守備でも前線のスイッチ役として無失点に貢献。気温30℃を超える中のフル出場で「明日が心配」と苦笑したが、この勢いのまま突っ走りたいところだ。

 「昨年は立正大淞南(島根)に初戦で負けていたので、まず一つ勝って弾みをつけたかった」と鈴村監督。県大会を無失点で優勝した勢いそのままに、被シュートをわずか3本に抑えての完封勝ちとなった。攻守両面で充実感を示し、「すごく勇気を持てた試合ではないか」と充実感を得ている。

(文・写真=田中紘夢)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)