修猷館 vs 筑前(写真=中倉一志)

 修猷館にしてみれば、一方的にボールを支配された前半を1失点で耐え抜いたことが功を奏した。鋭い出足の筑前の前にパスを回そうとしては引っ掛けられ、どうしても中盤のラインを越えられない。長いボールに活路を見出そうとしても、押し込まれた体制から送るロングボールは相手に回収されて苦しい状況を打開することができない。前半を終えた段階では筑前の優位は動かないものと思われた。

 だが後半に入ると、少しずつ、少しずつ、試合の流れが変わりだす。最大の要因は筑前の運動量に陰りが見え始めたこと。中盤のプレスから解放された修猷館はボールを動かせるようになっていく。

 そんな修猷館のリズムは独特だ。攻守を素早く切り替えてゴールを目指すのが主流となっている中、修猷館はボールを持っても決して急がない。ゆったりとしたリズムでボールをキープ。相手の中盤に隙ができるのを待って縦に入れて起点を作る。守備ブロックを敷いてスペースを埋める筑前に対して効果的な攻撃を繰り出すことはできなかったが、それでも慌てずにゆったりとしたリズムを崩さない。

 そして後半16分。筑前のパスが乱れたところを奪って攻撃に転ずると、最後は梶原康成の右足がゴール右隅を捉えた。そして試合は一進一退の展開へ。ともにゴールを目指して激しくぶつかり合う。そんな中で迎えた後半のアディショナルタイム。クロスボールに糸井将馬(筑前)が頭で合わせたシュートは決まったかに思われたが、これはGK石川颯馬(修猷館)がスーパーセーブ。試合は延長戦へと持つれ込んだ。

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