FW吉田眞翔ら日体大柏の攻撃陣も強力で、勝敗はどちらに転んでもおかしくなかった(写真=多田哲平)
しかし市立船橋もセットプレーについては、増嶋竜也コーチと曽我光利GKコーチの下で日々磨いてきていた。
逆転を許したわずか3分後の54分、レフティMF北川が上げたCKにDF藤田がヘディングで合わせて、試合を振り出しに戻した。
2-2のまま延長戦に入っても一進一退の攻防が続く。
待望の勝ち越しゴールが生まれたのは92分だった。ゴールまで約40メートルの位置からMF北川がFKをゴール前に落とすと、相手のクリアミスから最後はDF懸樋がヘディングシュートでネットを揺らす。一瞬の隙を見逃さず押し込んだゴールには、勝利への執念を感じさせた。
そして市立船橋のプレス強度は最後まで落ちなかった。日体大柏には流れのなかからゴールを割らせず見事に勝利。「どっちが取ってもおかしくないような展開でしたけど、最後は気持ちが出たんじゃないかなと思います」という波多秀吾監督(市立船橋)の言葉どおり、終盤はまさに気迫で押し切った。
激戦区千葉の頂点に立った市立船橋は、2018年度ぶりの全国切符を手にした。
一方で、プレミアリーグEAST勢の市立船橋と互角に渡り合い、土俵際まで追い込んだ日体大柏は、その確かな実力を示したと言っていい。準決勝では、市立船橋と同じくプレミアリーグEASTに所属する流通経済大を3-0で打ち破って勝ち上がってきたのが偶然ではないことを証明した。平野、古谷、オウイエ・ウイリアム、吉田の強力カルテットはこの日も相手の脅威となり、右SBの寺村は豊富な運動量を武器に攻守に厚みをもたらし、柴田と古金谷は対人の強さを見せつけた。
(文・写真=多田哲平)
▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)千葉予選
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