4回戦 蒼開 vs 市立尼崎

 そのまま市立尼崎が1点リードで折り返したが、蒼開が後半の頭から反撃を開始。

 8番MF坂上蓮が幅広く顔を出し、10番FW李冠誼のロングスローやCK、守備時も攻め残ってカウンターを繰り出すなど市立尼崎ゴールを目指し、それもあと一歩のところまで迫っていた。

 飲水タイムに入る際には「押してる!1点取るぞ!」と声が出ていた蒼開に対し、市立尼崎は「落ち着け!我慢や!」と声掛けがその対照的な形勢を表していた。

 しかし飲水タイムを挟むと市立尼崎も持ち直し、相手の攻撃を凌ぐだけではなく、もう一度攻めの姿勢を示す。すると59分、右サイドのクロスから、シュートがこぼれたところを途中出場の6番MF川元優大がダイレクトボレーで合わせる。川元が左足で放ったシュートはアウト回転でGKの指をかすめ左サイドネットに突き刺さった。

 2点にリードを広げた市立尼崎は14番FW澤畠遼が前線で身体を張れば、10番MF中田翔理が中盤でボールを落ち着かせる。これによって危なげなく時計の針を進ませた。

 最後までゴールを目指す蒼開は試合終了間際にCKのカウンターから李がチャンスを迎えるも、ヘディングシュートは僅かに外れタイムアップ。2-0で市立尼崎が勝利を手にした。

 「苦しかったですね」

 市立尼崎の近藤照男監督はゲーム後の第一声でそう話した。リスクを冒し攻め込んでくる蒼開の攻撃に後半の飲水タイムまで苦しんだ市立尼崎だったが、見事に耐え抜き追加点を奪って勝ち切ってみせた。

 リーグ戦をこなしながらも大阪のプリンス勢と練習試合をやってきたという市立尼崎は「強度の見直しというところで、今日の最後の部分でも粘り強く戦えたのは春からやってきた成果」と近藤監督も手応えを口にした。

 流れが悪くなった時に耐え抜く力があることを示した市立尼崎。「もちろん一番を取りに行きます」と指揮官も話すように兵庫の一番を目指し市立尼崎イレブンは突き進む。

 (文・写真=会田健司)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)兵庫予選
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