高稜 vs 福岡西陵(写真=中倉一志)

 パスカットしたボールが簡単に高稜にわたる。高稜のプレッシャーの前にパスがずれて繋がらない。そんな繰り返しの中では集中力が落ちてもおかしくはなかったが、それでもギリギリのところではね返していく。

 そんな福岡西陵のスローガンは「信は力なり」というもの。自分の力と仲間の力を信じて、支え合いながら戦うことを表している。この日の戦い方はまさにスローガン通りのものだった。決してうまく守れているわけではない。いつゴールを奪われてもおかしくない。けれども、自分のために、仲間のために、肝心なところは譲らない。そんな気持ちが伝わってくる。

 そしてサッカーには、長短の違いはあっても必ず自分たちの時間がやって来る。粘り強く戦う中で、待ち受けるだけの守備が少しずつ相手に与えるプレッシャーを強くしていく。左サイドを駆け上がってチャンスメイクする荒井祥太のプレーが仲間たちに勇気を与え、少しずつゴールに向かう気持ちが強くなっていく。そして71分。右サイドの深い位置から送ったロングスローがゴール前にこぼれたところに古賀悠翔が左足を振り抜いてゴールネットを揺らす。そして、その勢いのままにさらにゴールに迫った。

 だが同点ゴールは生まれず。福岡西陵の戦いは3回戦で幕を閉じた。シード校に対して力及ばなかった悔しさは残る。悔いがないと言ったら嘘だろう。だが、自分たちの力を出し切った試合は福岡西陵らしい戦いであったことは間違いない。

(文・写真=中倉一志)

▽第101回全国高校サッカー選手権福岡予選
第101回全国高校サッカー選手権福岡予選