初の全国を狙う創志学園、初戦で倉敷青陵に4-1快勝

創志学園イレブン(写真=寺田弘幸)

 キャプテン稲井迅の強烈なミドルシュートがとどめの一撃だった。第101回全国高校サッカー選手権岡山予選3回戦からの登場となった創志学園は、2回戦で笠岡工を3-0で破った倉敷青陵を4-1で下し、ベスト16へと駒を進めた。

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 夏のインターハイ準々決勝で玉野光南に0-4で敗戦して涙した。あの敗戦から3カ月半が経ち、創志学園はたくましさを増している。

 「しっかりとトレーニングをしたからね」と笑う田淵倫三監督は、個性豊かな選手たちの力を引き出すためにチームのベクトルを1つにまとめてきた。

 「やることをシンプルにして、頭の中を整理してちゃんと判断できるようにしてきた。裏が空いているのなら裏を狙っていくんだけど、裏へのアクションが遅かったり噛み合わなかったりしていたんで、そういうところをちゃんとやろうと。今大会のメンバーに入った選手たちは、誰が出てもそんなに変わらないチームになっていると思いますね」

創志学園 vs 倉敷青陵(写真=寺田弘幸)

 その中で重要な役割を果たしてきたのが、キャプテンの稲井だ。田淵監督も「だいぶ良いね。キャプテンシーがあるし、夏に負けてからさらに一生懸命にやるようになって、質も上がってきた」と信頼を寄せるMFは、選手権の初戦となった倉敷青陵戦にチームみんなの意思をしっかりとまとめて臨んだという。

 「チームを1つしようということで監督から試合前に3年生だけ行こうと言われたので、『ピッチの上で戦う選手は誇りと責任をもって戦おう』ってミーティングで自分からも選手に話しました」

 高校最後となる今大会には、チームとしても、個人としても、並々なら想いがある。

 「夏にインターハイで情けない負け方をして、個人としても何もできなかった。それでこの夏はオフなしでやろうって決めてみんなでやってきたんで、この大会にはすごい自信をもって臨んでいます。この大会は絶対に獲りたいと思います」

 力強く語った稲井は、3年前に徳島ヴォルティスのJrユースからユースへの昇格は叶わず、進路について悩みに悩んで岡山へやってきた。

創志学園 vs 倉敷青陵(写真=寺田弘幸)

 「いろんなユースチームや高校に練習参加に行って最後に創志に練習参加させてもらったんですけど、監督の熱量を1番感じて、ここだったら絶対に全国へ出れると思ったんです」

 大きな決断を下して岡山での挑戦を選んだ稲井は「サッカー以外のところでも人間として成長できましたし、この選択は絶対に間違っていなかったと思うので、あとは結果を出したいです」と言葉に力を込める。

 松木玖生のような攻撃性やリーダーシップを目標にし、遠藤航やエンゴロ・カンテのような読みの鋭いボランチを目指してきたボランチは、創志学園に初の全国への切符をもたらすため、ピッチ上の誰よりも誇りと責任をもって戦っていく。

(文・写真=寺田弘幸)

▽第101回全国高校サッカー選手権岡山予選
第101回全国高校サッカー選手権岡山予選