岩槻北陵もDF小野陽人のゴールで一矢報いた(写真＝多田哲平)

　しかし後半は、圧力をかけて前に出てくる岩槻北陵の後手に回る。MF10池田優斗(2年)、MF7五十嵐光稀(3年)ら距離感の良い中盤にボールを握られていった。

　34分にはロングボールを受けた池田から、DF4小野陽人(3年)へとつながれると、ゴール右に打ち込まれ、1点を返された。

　それでも、熊谷農が焦れずに試合を進められたのは、選手たちの意思が統一されていたからだろう。ハーフタイムには笠原を中心とした選手ミーティングでお互いの意見を交換し合い、試合中にもしきりにプレーを確認し合う場面が多く見られた。

　そして80＋5分にはGK1高橋初音(3年)がファインセーブを見せるなど、その後の岩槻北陵の猛攻を食い止め、きっちりとリードを守った。見事勝ち切った熊谷は、24日の2回戦で熊谷西と対戦する。

　ただ一方、岩槻北陵の戦いぶりも称賛に値するものだった。3点のビハインドを負っても諦めることなく、相手ゴールを目指し、後半には小気味良いパスワークで相手を翻弄した。池田の推進力や五十嵐の運動量は際立ち、MF11岩原達己(3年)は力強い突破を見せた。また最後まで体を張り続けたDF15ジェハンゼブ・ズヘイブ(2年)、GK1渡邊圭悟(2年)など守備陣の奮闘も見逃せなかった。

(文・写真＝多田哲平)