埼玉栄 vs 西武台(写真=佐藤亮太)

 それもそのはず。プリンスリーグ関東1部所属で、昨年度県予選覇者の西武台に、S2リーグ(埼玉県2部)の埼玉栄が勝つ、まさに番狂わせが起きた。

 さらにここ数年、埼玉栄はベスト16が鬼門。しかも昨年度も同じ3回戦で、同じ会場で、西武台と当たり敗退していただけに喜びもひとしおだった。

 殊勲の小川は、痛めている右足首での得点に破顔一笑の様子だった。実は前半12分に埼玉栄はPKのチャンスを得ていたものの、FW10安倍颯汰(3年)が失敗していた。それだけに、より価値が増す値千金のゴールとなった。

 試合全体を見れば、両者がっぷり四つ。特に前半は中盤の主導権の握り合い。ボールをつなぎたくてもつなぐことができなかった。たとえ運よく突破してゴール前に近づいても、そうはさせじと互いに素早い守備を披露。しかもシュートは枠外といずれもゴールを遠ざけた。前半の両者のCKはゼロという数字からも、いかに拮抗していたかが分かる。

 後半に入り、埼玉栄がジワリジワリとにじり寄る。格上相手に迫れるのは攻撃力の自信の表れ。4-4-2の2トップと両サイドがプレスをかけ続けたことで、西武台に小さなミスやズレを誘発させ、かつ疲弊させた。シュート数を見ると西武台5本に対して埼玉栄は14本と抑え込む、狙い通りの展開となった。

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▽第101回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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