東京実業のFW渡辺晴也(右)は先制ゴールを奪った(写真=多田哲平)

 後半に流れをつかめた要因はもうひとつある。サブ選手の活躍である。勝ち越しゴールを決めた平原だけでなく、MF14高木淳(3年)やMF18柏田凌佑(3年)MF19角田哲哉(3年)はスムーズに試合に溶け込み、アグレッシブに働いた。

 またチームに好影響をもたらしたのは出場選手だけではない。FW23野尻七誠(3年)はこの日出番がなかったものの、ハーフタイムのロッカールームでチームメイトにゲキを飛ばしていた。

 『お前ら、俺らの分までやってくれているのかよ!ここで負けたらどうすんだよ!』

 その熱意が先発メンバーに火をつけた。同点ゴールを決めた佐藤が「スイッチが入りましたね。出られない選手の分も背負っていかないとと改めて責任感が湧いてきた」と話せば、山本健二監督は「仲間同士なんだけれども、強く言える。そういうチームのバランスや雰囲気が良かったんじゃないかな」と明かしている。

 まさにチーム一丸で逆転勝利を手にした成立学園は5年ぶりの決勝進出。2005年度大会以来17年ぶりの全国切符を懸けて国士舘と対戦する。

 一方で東京実業も惜しくも敗れたとはいえ、その闘志溢れるプレーで好ゲームを演じてみせた。渡辺とFW9岩野隆斗(3年)という2トップのキープ力やMF10宇田川陸飛(3年)の展開力、DF5尾形優槙(3年)のロングスローは相手の脅威となり、またGK1牛島颯太(3年)、DF3田中怜音(1年)、DF4須田透真(3年)らの体を張ったブロックも見応えがあった。

(文・写真=多田哲平)

▽第101回全国高校サッカー選手権東京予選
第101回全国高校サッカー選手権東京予選