浜松開誠館 vs 大津(写真=佐藤亮太)

 そのひとつは前大会、準優勝というプレッシャー。「試合に近づくにつれ、緊張からか出足が悪くなり、ボールへの反応が遅くなった」と山城監督。まして浜松開誠館は注目校のひとつ。さらに初戦とあっては、仕方ないかもしれない。

 前半はボールを回収できなかったことから、後半には形とポジションに変化をつけたが、後手を踏み続けた。今まであまり経験のない試合のなかでの終了間際の同点弾だった。

 PK戦前、山城監督は「負け試合を拾ってのPK戦なのだからのびのびやってこい」と選手に伝えた。見事、2本のPKを止めたGK西は「監督からは負けゲームだからPKまでこられてラッキーと言われた」と良い意味で開き直れた。これが功を奏した。

 負け試合を勝ちにつなげた大津。一方、内容で圧倒しながら負けた浜松開誠館。

 現役時代、清水エスパルスでプレーした青嶋文明監督は「狙い通りの試合はできた。しかし狙い通りの試合ができても勝てないことはあるし、そうでないときもある。またひとついい経験をさせてもらった」と総括するとともに「勝負なので勝負の流れというか、ちょっとしたアヤをとれなかったことは彼らに申し訳ない」と反省しきりだった。

 それでも機動力を生かしたパスサッカーはかつての清水エスパルスを見ているようだった。

 「一番良かったのは子どもたちがサッカーを好きになること、サッカーを楽しむこと。想像を超える成長をしてくれることを実感できた」と青嶋監督。

 サッカー王国・静岡の復権を思わせる浜松開誠館の来年に期待したい。

(文・写真=佐藤亮太)

▽第101回全国高校サッカー選手権
第101回全国高校サッカー選手権