積極的に縦パスを入れて、相手が中を締めてきたら、空いた外から積極的にクロスを入れるのが狙いとするスタイルだ。前半12分に生まれた先制点はまさに狙い通りの形で、8番MF岡本温叶が右サイド低い位置からゴール前にクロスを展開。9番FW今井拓人が相手と競り合ったこぼれを田口がダイレクトで打ち返し、ゴールネットを揺らした。

 リードを奪ってからもサイドからのクロスを狙いつつ、「横からクロスを入れればクリアボールはそんなに遠くへと飛ばない。その回収をして二次攻撃というイメージを持って入りなさいと伝えていた」(高原監督)カウンターのリスクマネジメントを徹底。相手のシュートを1本に抑えて、試合を折り返した。

 後半も主導権を握って試合を進めると、後半13分には「ずっと練習していたけど、出せていなかった」(岡本)と昨年1月から温めていたデザインしたCKで決定機を生み出す。キッカーの岡本が傍に寄った山田とのワンツーで後ろに下がり、中の田口にパス。田口がダイレクトでPAに落とすと、フリーの山田が勢いよくシュートを放った。この一撃はGKに阻まれたが、すかさず今井が押し込み、リードを2点差に広げた。

 残り10分を切ってからも攻撃の手を緩めず、32分には今井、山田と繋いだボールから、途中出場の19番MF木下瑠己がゴール。40+4分には11番FW田邉望が自ら獲得したPKを決めて、4‐0で勝利した。3度目のチャレンジでようやく掴んだ4強入り。高原監督は「気付いたらベスト4まで行けたら良いなと思っていたら、本当に来ちゃいました。1回戦から選手が最後まで戦ってくれたおかげです」と笑みを浮かべた。

(文=森田将義 写真=矢島公彦)

▽第101回全国高校サッカー選手権
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