柏U-18は山本桜大の2ゴールで試合を振り出しに戻した(写真=多田哲平)

 しかし、ここから柏U-18が反撃。FW山本桜大(3年)のポストプレーを起点にサイドから仕掛け、攻勢を強めていく。27分にはPKを獲得。これを山本が決めて1点差とした。勢いに乗った柏は攻撃の手を緩めず、果敢にアタッキングサードに進入。すると、アディショナルタイムに中村拓夢(3年)の左クロスに山本が合わせる。ニアサイドで擦らせる高難度の一撃をねじ込み、試合を振り出しに戻した。

 スコアは2-2。だからこそ、中止が悔やまれる。もちろん、誰のせいでもないし、誰かが悪いわけでもない。一言で言えば、これもサッカーなのかもしれないが、選手にとっては日本一を目指す特別な大会の1試合。それだけに悔しさは募る。

 だが、選手たちは悔しさを押し殺しながら、前を向いていた。試合後、表彰式が室内で行なわれたなかで横浜ユースの選手たちは柏U-18の選手たちをリスペクト。賞状を受け取ってからロッカールームに戻るまで拍手を送り、柏のキャプテン・DF西村龍留(3年)からは個人的なエールも受け取った。決勝に向けて気持ちを新たにした横浜。「次の試合は責任を背負って戦わないといけない」とは大熊裕司監督の言葉。異例の決着となった一戦を経て、横浜が決勝でどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

(文=松尾祐希、写真=松尾祐希、多田哲平)