ゴール前の競り合い(写真=井芹貴志)

 2点を追う展開となった慶誠だが、「立ち上がりはリスペクトしすぎて起点を作られていた」(古木裕監督)と、前線からのプレス強度を高めることで自分たちの流れを作り、34分、田中陸大のパスに反応した中島龍斗が前に出てきた大津GK石本温人をかわして運び、右足でファーサイドへ流し込んで1点を返す。慶誠はさらに終了間際の40分にも、中央から右へ展開したボールを深い位置まで入った右サイドバックの眞弓恭輔が折り返し、これが大津のオウンゴールを誘って前半のうちに追いついた。

 後半に入ると大津が攻め込む時間を増やすが、右の舛井悠悟からのクロスに稲田が合わせた54分の場面は左のポストに跳ね返り、直後の嶋本のシュートも慶誠のGK春本秀真に阻まれ追加点を奪えない。耐えながらも相手の背後をついた形から好機を作る慶誠も、67分に植田が決定的な場面を迎えるが、後半からピッチに立った大津GK坂田昇哉が阻止。お互いに「次の1点」が奪えないまま終盤を迎え、延長に入るかと思われた。

しかしアディショナルタイムの80+1分、右からの折り返しをつないだ慶誠は、相手のクリアから糸川徠夢が決め逆転に成功すると、さらに80+4分にも相手のクリアボールを拾った中島が大津GK坂田の頭上を抜く4点目を奪い、勝利を決定づけた。

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▽令和4年度熊本新人戦(新人選手権大会)
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