大津vs 慶誠(写真=井芹貴志)

 しかし左からのクロスにMF稲田翼が合わせた13分、右に流れた嶋本からのボールを碇が頭で狙った14分、同じく碇がゴール前の相手のクリアを拾ってシュートを放った24分など、慶誠守備陣の最後の局面での寄せもあり、大津はことごとく決定機を決められず、前半はスコアレスでの折り返し。

 後半も立ち上がりから大津が押し込むが、前半同様に慶誠はGK春本秀真、キャプテンのDF成松凌汰郎を中心に粘り強く跳ね返し続ける。ゲーム自体は大津のペースで進んでいたと言えるが、慶誠にとっては「前半、システムのミスマッチからサイドに起点を作られていたので、後半からそこを修正してコンパクトにした」(古木監督)ことも奏功した狙い通りの展開。雨の影響を受けたピッチ状況を踏まえれば、耐え続けることでチャンスが転がってくる可能性はあった。

 ただ、一方で「前線のキックの質など、個人の力の差」(古木監督)で、よい展開に持ち込めそうな形で届かない場面も散見され、なかなか得点機を作るには至らない。結果としては、その部分が勝敗を分けた。

 押し込む状況を作りながらも得点が奪えなかった大津だが、0-0のまま延長にもつれるかという雰囲気も漂い始めた終了間際の68分、交代出場のMF日置陽人から碇、田辺とつなぎ、これを収めた稲田が冷静に左足を振ると、これが決まって大津が遂に先制。

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▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)熊本予選
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