浦和南 vs 埼玉平成 (写真=河野正)

 得意のセットプレーからだ。伊田の蹴った左CKをGK岡田大夢(2年)がパンチングで跳ね返したが、こぼれ球を拾ったCB長谷川葵巳(3年)が、左足でゴール右隅に沈めた。26分にも右CKから掛谷が決定的なヘディングシュートを放ったが、わずかにバーの上だった。

 それでも35分に再びセットプレーから加点する。伊田がハーフウエーライン付近からのFKをゴール前に送ると、今度もCBの齋藤旺徳(3年)が、ヘッドでそらしてゴール右に流し込んだ。セットプレーは浦和南の武器のひとつで、今大会ではこれが大きな得点源となっている。

 埼玉平成は、前日の3回戦で3得点した三木や佐藤が積極的にゴールを狙ったが、得点できないまま前半を0-2で折り返した。

 浦和南エリアに掲げられた『23 1/28を忘れるな』という横断幕が、選手の背中を押しているようでもあった。

 今年1月28日の新人大会南部支部予選3回戦で市立浦和に0-1で屈し、新人戦の県大会と関東高校大会予選の出場権を逃したのだ。

 後半30分、牛田のパスを預かった濱口が、左足で3試合連続となる3点目を蹴り込んだ。ストライカー級の決定力を誇る濱口は、「あの悔しさを晴らすため、この4カ月間練習してきたことを試合にぶつけています」ときっぱり。野崎監督は「1点取られたために2大会を台無しにしてしまったので、常に1点の重みを意識させています」と述べ、濱口も「チームとして無失点にこだわっている」と話すように、失点ゼロがチームの合言葉になっているのだ。

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▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選
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