浦和南 vs 武南(写真=河野正)

 セーフティリードと言える前半28分の3点目が効いた。飯野が右サイドからリズミカルにドリブルで進出すると、ペナルティエリア内で倒されてPKを獲得。松原がGKの動きを冷静に見極め、ゴール右隅に沈めた。

 内野慎一郎監督は「3-0にして気持ち的にも楽になり、あとは1点もあげないことが大切だった」としてやったりの表情を浮かべた。

 浦和南もサイドから再三チャンスを作り、前半11分に主将の左SB橋本優吾(3年)の左クロスから1トップの掛谷羽空(2年)がシュート。15分にも橋本が左から鋭い最終パスを配給したが、MF伊田朋樹(3年)の決定打はわずかに右へ外れた。伊田は37分にも右から持ち込んで強烈なシュートを放ったが、武南のGK前島拓実(3年)の好守に反撃の芽を摘み取られた。

 試合を3-0で折り返した武南は、後半26分の4点目で試合を決めた。松原が右から完ぺきなクロスを配給し、タイミング良く飛び込んだ戸上がヘッドで合わせた。

 後半は攻撃的に立ち回るしかない浦和南のほうが、2本多い6本のシュートを打った。後半18分から出場したFW小暮健太(3年)は、20分に鋭い左足シュート。39分には途中出場したMF竹内翔馬(3年)の左ロングスローから惜しいヘディングシュートを放ったが、GK前島の好守に阻まれた。アディショナルタイムのGK金悠聖(3年)のロングシュートも前島が右手で防ぎ、CKに逃れるなど武南は難敵・正智深谷との準決勝に続いて無失点で勝った。

 就任6年目の内野監督は「選手はやる気と強気と平常心を持って、自分たちのスタイルをぶれずにやり通してくれた。相手が何か仕掛けてくる雰囲気もありましたが、動じなかった。みんなの力がひとつになってきたことを感じる」と指揮官として初のインターハイ出場を喜んだ。

 先制点が今大会初ゴールとなり、PKで自身2点目を挙げたエース松原も笑みが絶えない。浦和南の堅陣を崩す策について「プレスを掛けられる前に周りをうまく使おうとしました。中央は密集しているので、サイドから1対1の状況を作ることを心掛けた」と説明。「支えてくれたたくさんの方々に恩返しできて良かった」と喜びを爆発させた。

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▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選
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