東京朝鮮中高級学校 vs かえつ有明輪(写真=石黒登)

 東京朝高は押し込んで進めたが、なかなかこの守備を崩すことができなかった。「結局最後の質のところですよね。そこがやっぱり。あとは細かい中の枚数とか、ポジショニングとかという部分もまだまだ」(姜監督)。後半はMFパク・チソン(3年)の右サイドを使って攻略しようとする場面も見られたが、相手を崩して得点までは至れていなかった。

 それでもチームの窮地を救ったのがGKリ・リョンス(3年)だ。延長前半には退場者も出た中で「最後の10分はもうPKでいいと。PKだったら俺が絶対に止めてやるという気持ちだった」とすでに気持ちを作っていた守護神は、PK戦の前に「俺が3本止めるから」と言って仲間を励ましつつ、自らにもプレッシャーもかけていたという。

 そんな中でPK戦では1本目、2本目を連続してセーブ。「ちょっとキッカーに声をかけつつ、「来いよ!」と。もうコースとかは完全に自信を持って、何も考えずに自信を持って跳びました」。特に2本目はかえつ有明のGK佐竹快翔(3年)も止め返してきた中で重要な1本になったが、自信を持って右に跳んで止めて、再び大きくガッツポーズ。3本目はリの気迫が伝わってか、相手のキックがクロスバーに嫌われ、3-0で勝利を収めた。

 昨年9月に左膝を故障し、約半年間の離脱も経験した。「去年の先輩も見に来てくれた中で「そうだよ、これだよ!」みたいな、「俺たちはこれが見たかったんだよ!」みたいな感じで思ってくれたらいいなと思いながら、やっぱり去年みんなに苦労をかけた分、自分がチームを助けたいという気持ちが大きかった」という守護神がチームをインターハイ予選では2018年以来5年ぶりとなる2次トーナメントに導いた。

(文・写真=石黒登)

▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選
令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選