9年ぶりの優勝を狙う開志学園JSCが上越との乱打戦制し決勝へ

開志学園JSCが上越との乱打戦制し決勝へ

 11月3日、第102回全国高校サッカー選手権新潟予選の準決勝2試合が五十公野公園陸上競技場で行われた。9年ぶり2度目の優勝を狙う開志学園JSCと初の決勝進出を狙う上越の一戦は両チーム合わせて7ゴールが生まれる乱打戦となったが、開志学園JSCが4-3で制し、12日の決勝に駒を進めた。

 試合は序盤にいきなり動く。前半5分、DF石橋尚士(3年)の右CKをDF小林和歩(3年)が頭で合わせ、開志学園JSCが先制点を奪う。続く16分にはFW阿部日夏太(2年)が中央からドリブルで独走し右足を一閃(いっせん)。あっという間に点差を2点に広げる。反撃に出たい上越だが、開志学園JSCの分厚い守り、安定したセービングを見せるGK蒲澤海翔(3年)の前に決定機をつくれない。

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 それでも上越は29分。MF小林優大(1年)が左CKを直接ゴールにたたき込み、反撃ののろしを上げる。勢いづいた上越はそのわずか1分後。MF松林大翔(2年)の右クロスをFW石戸珠莉也(3年)がワンタッチでFW今井律杜(3年)にラストパス。受けた今井が右足アウトサイドでしっかりと流し込み、試合を2-2の振り出しに戻す。

開志学園JSC vs 上越

 エンドが変わった後半。先に上越が仕掛ける。42分。左サイドからのロングスローを跳ね返された所を今井がペナルティーエリア右外からミドルシュート。開志学園JSCのGK椛澤が弾いたところをFW梅澤龍翔(3年)が右足で詰め、3-2と逆転する。

 諦めない開志学園JSCはキャプテンが意地を見せる。57分。セットプレーを弾かれた所から攻撃を再構築し、ゴール前に右クロスを放る。ヘディングで合わせた阿部のシュートは上越GK伊海央祐に防がれるが、こぼれ球をDF吉村太陽主将(3年)が執念で押し込み、今度は開志学園JSCが試合を振り出しに戻す。その後は両チーム手堅くゲームを進めて3-3のままタイムアップ。試合は80分で決着つかず、10分ハーフの延長戦に突入する。

 開志学園JSCは延長前半からFW中家一優(3年)を投入。この交代策が見事に的中する。開志学園JSCのキックオフで延長前半が始まると、ゆっくりとボールを回す。1度はカットされ相手スローインとなるが、すぐにボールを奪い返すと、中央のFW土山都吾(3年)が浮き球のスルーパスを上越最終ラインの背後に落とす。そこに右からフリーで走り込んだ中家が右足ダイレクトで合わせ、再逆転に成功する。ピッチに入ってからわずか40秒で大仕事をやってのけた中家は「土山がここしかないというパスを出してくれた。あとは冷静に決めるだけだった」と決勝点を振り返った。

 開志学園JSCはその後も全員が好守にハードワーク。1点差をキープしたままタイムアップの笛を聞き、決勝進出を決めた。上越は主力3人を欠きながらも3得点。驚異の粘りを見せたが、初の決勝進出は逃した。

 延長前半に決勝ゴールを決めたFCグロリア(東京)出身の中家は今予選初ゴール。高校入学前に左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂し、1年時はリハビリに時間を費やした。2年生で復帰し、最終学年でトップチームに昇格した。「最高の舞台に立ち、勝利に貢献できた」。この日はベンチスタートとなったが、「出番が来たら自分が決めてやろうと思っていたし、監督からもそう言われていた。有言実行になって良かった」と笑顔を見せた。

 宮本文博監督は「一戦一戦、子どもたちがまとまり、たくましく成長している。良い意味で読めない」と喜んだ。デンカビッグスワンスタジアムで行われる決勝は、2年ぶり10度目の県制覇を狙う帝京長岡と対戦する。中家は「相手は県のトップだが、うちも張れるパワーはある。帝京に勝って全国に行く」と力を込めた。

▽第102回全国高校サッカー選手権新潟予選
第102回全国高校サッカー選手権新潟予選