坂戸 vs 八潮南(写真=河野正)
坂戸は飲水直後、左DFだった五十嵐悠音(2年)を最前線に配置。この作戦が見事に的中した。35分、松本の右クロスから同点のヘディングシュートをたたき込んだのだ。「相手GKの前にボールを入れる約束だったので、タイミングを合わせて飛び込んだらうまくヘッドで捕らえられました。FWは得意なポジションなので決められてうれしかった。次も身を粉にしてチームのために尽くしたい」と笑顔が絶えなかった。
アディショナルタイムも5分が経過し、延長かと思われたその時だ。CB加藤遥斗(3年)が自陣で得た長いFKを直接決め、劇的な逆転勝ちを手繰り寄せた。GKの頭上を越す絶妙なキックだった。
昨年5月のインターハイ予選で対戦した豊岡の選手に、全く同じ位置から同じ軌道のボールを蹴られて失点していた。加藤は「あのシーンを思い出し、GKが触れるかどうかというコースを狙いました。決まった時は驚きました」としてやったりの表情だ。
今季の坂戸は新人大会、インターハイ予選とも西部支部予選1回戦で敗退しただけに、これがトーナメント戦での初勝利となった。就任8年目の大久保亮祐監督は「初戦なので難しい試合になるのは予想していましたが、本当に厳しかったですね」とひと息つくと、「五十嵐は元々FWでしたし、加藤のシュートもコーチが指導してくれたおかげ。今年のチームは技術的には高くないが、まじめで熱量の多い選手ばかりです」と誇らしげにイレブンに視線を送った。
次の相手は一昨年の新人大会とインターハイ予選、昨年のインターハイ予選でいずれも屈した豊岡だ。しかし今季の西部支部2部リーグでは5月13日の対戦で3-0と快勝している。大久保監督は「今日の逆転勝利は選手にも自信になったはず。全員で戦っていい結果を出したいですね」と次戦への意気込みを示した。
(文・写真=河野正)
▽第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選