狭山清陵のFW米沢勇祐は後輩にエールを送った(写真=河野正)

 しかし正午キックオフの厳しい炎天下でも、交代要員のいないチームは最後までファイトし善戦した。

 1年前の同予選は1回戦で敗退したものの、単独チームで戦えた。しかし1月の新人大会と5月のインターハイは、ともに狭山工業と合同チームを結成して西部支部予選に臨み、いずれも1回戦で敗れた。

 伊奈学園から転勤して4年目を迎えた山﨑稔監督は、「今回、狭山工業さんは頑張って単独で出場できる体制をつくったので、うちはどうするか思案しました」と厳しいチーム情勢を説明。「しかしたとえ10人でも出場を熱望した米沢、中野に最後の大会を経験させたかったんです。あの2人は練習も休まないし、率先してチームを引っ張ってくれましたから」と感謝した。

 山崎監督は試合中、テクニカルエリアからも、ベンチの中からも指示することは1度もなかった。選手の自主性を尊重したそうだ。

 大黒柱は大いに悔しがった。10人でも負ける気がしなかったからだ。「悔しい。あのシュートが入っていれば勝てたと思う。体力的にはきつかったけど、戦っていて(勝つ)手応えは十分にあった」と米沢は、淡々とした口調の中にも悔しさをにじませた。

 今夏の全国高校野球選手権埼玉大会でベスト16入りした野球部は大層人気があるが、サッカー部は入部しても辞めていく選手が多いという。そんな部を愛してやまない米沢は、後輩にこんなエールを贈った。

 「感謝しかない山崎先生に一つでも勝利をプレゼントし、恩返ししたかった。後輩たちは練習への取り組みを変え、しっかりトレーニングを積んで試合で結果を残してほしい」

(文・写真=河野正)

▽第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選