松山 vs 北本(写真=河野正)

 同点にされたが、松山に焦りはなかった。後半8分に決定打を外したFW神戸暖(3年)は、この4分後に決勝点を挙げる。GK鶴賀丈(3年)が自陣から蹴ったFKのボールがワンバウンドしている最中、難しい体勢から左足で豪快に蹴り込んだ。

 神戸は15、17、39分にも決定的なシーンを迎え、決めていればハットトリック完成だった。「絶好の場面でしたから、ちょっと焦ってしまったかもしれません」と照れ笑いする主将。

 松山は36分、CB大久保魁星(3年)が敵陣左サイドから送ったFKをMF内田瑠珠(3年)がヘッドで流し込んで3点目を奪うと、アディショナルタイムには松田のパスから、内田が今度は右足で決めて駄目を押した。

 新任の幸手桜で6年間指導し、母校でもある松山に赴任して4年目、1月の新人大会から指揮を執る吉田裕亮監督は「後半の途中から攻撃のリズムが出てきて、大きなチャンスを作れました」と初戦を突破して安どの表情を見せた。『いささか決定力に欠いたのでは?』と水を向けると「そうですね、やはり決めるべきところで決めておかないと、上に進むほど難しい試合になる」とうなずいた。

 チームづくりのコンセプトについては「今年は守備に重心を置いた負けないサッカーを心掛けています」と現有選手の特長から、守備的であっても安定感のある戦い方を選択したようだ。

 主将の神戸も同意見。「今年のチームは粘り強い守備が持ち味です。得意な攻撃はサイドからの崩しとセットプレーのほか、三角形を作って空いたスペースに入り込むやり方です。次の代表決定戦は、ベンチに入れない選手の分まで気持ちを出して戦いたい」と所沢北戦をにらんだ。

(文・写真=河野正)

▽第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選