正智深谷 vs 聖望学園(写真=河野正)
前半38分にCB菅野陸斗(2年)が負傷で離脱したが、代わった軍司瑠華が楫野蒼太郎(ともに3年)とともに堅陣をリードし、正智深谷に点をやらなかった。
1-1のまま延長に突入し、前半は両チーム無得点。後半もアディショナルタイムに入り、最後のワンプレーという大団円を迎えた。
聖望学園は右CKを獲得。DF渡邊潤(3年)が遠いサイドにボールを送り、楫野がヘッドで折り返すと後半27分に送り出されたFW池田海(3年)がワンバウンドしたボールを押し込み、劇的な決勝点を奪った。これでタイムアップの笛が鳴る。
山本監督はうれしさのあまり、いくらか高揚していた。「選手を信じていた。最後は気持ちだと思った。PK戦も考えたが、選手に助けられた」と矢継ぎ早に言葉をつないだ。
正智深谷には今季、関東高校大会予選2回戦をはじめ、県S1リーグでの2敗を含め3連敗していただけに、宿敵を負かしたことも喜びを倍増させたようだ。
ヒーローは同点ゴールを挙げた1回戦に続き、2、3回戦とも先発してきたが、この日は戦術的な理由で控えに回った。「出たら絶対決めてやろうと思ってピッチに入った。練習通りのゴールです、気持ち良かった」と顔は緩みっ放しだ。
これまでボランチにCB、SB、サイドハーフなどいろんなポジションを任されたが、本人は「どこもパッとしなかった」と言う。ところがFWで試されるとしっくりいったそうだ。「次も点を取って決勝に行きたい」と最後までニコニコ顔だった。
アシストした楫野は当初、ニアポストに移動しようとしたが、軍司にファーポストに残るよう言われた。「あいつのおかげです」と感謝した守備の要人は、「浦和南には(7月8日の)S1リーグでセットプレーからやられた。セットでチャンスを与えなければ勝機はあると思う。しっかり抑えてチームの歴史を変えたい」と初の決勝進出と優勝を見据えていた。
(文・写真=河野正)
▽第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選