決勝点を決めたMF8芹生海翔

 夏の練習試合でも、そうした推進力溢れる攻撃と前線からのアグレッシブな守備で近江を押し込んでいたが、時間が経過するとゆっくりと押し返されていた。今回も流れは同じ。近江のDF22金山耀太(3年)が「相手の前線からのプレスが速いことは分かっていたので、ダイレクトでボールを叩きながら全員がボールに関わり続けようと意識していた」と振り返る通り、ドリブルとパスを織り交ぜた近江のテクニカルなサッカーに押し込まれていく。

 後半はそうした構図がより鮮明になっていく。後半3分には自陣から左中間を攻め上がった金山がゴール前にクロス。中央で待ち構えたFW11小山真尋(3年)がドンピシャのヘディングシュートを放ったが、クロスバーをかすめて枠の上。12分にはテンポの速いパス回しで前進し、MF15荒砂洋仁(3年)がシュート。こぼれ球を高い位置で繋ぎ直したが、シュートは打ち切れない。

 フィールドの選手全員が自陣で守備をする時間が続いたが、鹿児島城西としては好都合だった。「距離を縮めてくれるので、我々としてはガッチャンガッチャン(球際でのバトル)がもっとできる。ハーフタイムはコンパクトになればなるほど、相手はシュートが打てなくなるOKだと言っていた」(新田監督)。密集を回避されるようなドリブルとダイレクトシュートにも警戒しつつ、カウンターでチャンスを伺うと18分にはゴール前フリーでボールを受けた芹生が冷静な切り返しから、ゴールネットを揺らし、鹿児島城西が先制する。

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