そうして25分に決めた4点目で勝負は決した。左SB宮川空(3年)の斜めのパスを預かった伊東が、前に出てきたGKをかわして無人のゴールに自身4点目を流し込み、高校生になってからの公式戦で初のハットトリックを完成させた。

 4月27日にあった初戦の5回戦、大和西戦では無得点に終わっただけに、「5回戦は自分の所でボールが全然収まらず、チームの力になれなかったので、3点も取れてめちゃくちゃうれしいです」と笑顔が絶えなかった。持ち味はくさびのパスを受けてから好展開に持ち込むプレーだそうで、「次の準決勝もしっかりボールを収め、点も取りたい。FWなのでゴールは常にこだわっています」と関東大会出場の懸かる次戦でも、エースらしく貢献するつもりだ。

 大和西にも5-0で完勝しているが、佐藤監督は「今季のベストゲームができました。選手がそれぞれ持てる力を出してくれましたね」と評価する。

 昨年の今大会は準優勝だったが、インターハイと全国高校選手権の両予選を制し、インターハイでは4強入り。しかし選手権は1回戦でPK戦負けしたとあり、「選手の掲げたテーマが、“去年を越える”なんです。全国大会の悔しさは全国の舞台で晴らすしかありませんからね。これだけの素材がいるので、いろんな選手を試しながら成長していきたい。現状維持はマイナスなので、もっと強くならないといけない」と佐藤監督は穏やかな表情の中にも信念の強さを垣間見せた。

(文・写真=河野正) 

▽令和6年度関東高校サッカー大会神奈川予選
令和6年度関東高校サッカー大会神奈川予選