日体大柏の根引謙介監督は、胸中を明かしていた。

 晴天に恵まれた準決勝は、1-1から20分ハーフの延長に突入したが、ともに決定打を奪いきれず、勝負の行方はPK戦に委ねられた。

 先にけるのは日体大柏。2人目のキッカーが相手GKのセーブにあったものの、4人中3人が成功。一方、市船は、ひとり目のキッカーが確実に決めたが、その後、2人が連続で失敗し、土壇場に追い込まれる。そして、4人目のキッカーも日体大柏GK12早川ウワブライト(3年)に阻止され、この瞬間、PKスコア3-1で日体大柏のファイナル進出が決まった。

 「PKのキッカーや順番はすべて選手たち任せました。チームとして今日まで取り組んできたことやこれまでの思いを乗せて、迷わずにけってくれればと思っていました」(根引監督)

 勝利の立役者のひとり、GK早川は「PK戦になったとき、何とかチームを勝たせたいと思ったし、自分を信じてくれたみんなの気持ちが力になりました」と、会心の笑顔を見せた。日体大柏のひとり目のキッカーだったキャプテンのMF6加藤大雅(3年)がPKを成功させたあと、GK早川にすぐさま歩み寄り、自身のキャプテンマークを取って、彼の左腕に巻いた。「任せたぞ」というメッセージが込められていたし、それはつまり「信頼の証」でもあったのだろう。

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