攻撃のリズムをつかみ始めたのは、前半の飲水タイム後の20分過ぎから。細かいパスを多用しながら、33分にはDF3塩田航央(2年)が、続く34分には右サイドのクロスからMF8小林晄也(3年)がゴール中央でヘッドとゴールに迫った。前半はチャンスの回数は法政二高が多い一方、チャンスの質で東海大相模に分があった。
ハーフタイム中、法政二ベンチは「良い守備から良い攻撃」を強調するとともに、もっとシュートを打つよう指示が出た。
後半は前半同様、ロングボール、セットプレーで圧力をかける法政二高。守勢の構えながら、長短織り交ぜたパスで打開する東海大相模の構図が続いた。
法政二6:4東海大相模で進んだ後半28分、決勝点となったOGだが、そこには偶然の重なりのようなものがあった。得点のキッカケとなったロングスローを放ったのが後半、途中出場のFW17戸川昌也(2年)。有馬信二監督によれば、実はFW戸川はメンバー外の予定だった。しかし2日前、話しをした際、いつもやんちゃなFW戸川が「珍しく素直な目をしていた」とのこと。長年、指揮を執る有馬監督の持つ独特の直感なのか「(FW戸川は)ロングスローもできる選手。(法政二戦は)セットプレーが大事なゲームになる」とメンバー入りを決めた。
法政二 vs 東海大相模(写真=K,Nishiyama)
しかし、直感ではなかった。今年のインターハイ(総体)神奈川予選2次予選の準決勝 弥栄戦(6月15日)、0-1で迎えた後半40分、FW戸川のロングスローから同点に追いつき、延長戦で辛くも2-1で勝利した実績がある。とはいえ、接戦となると、いわゆるモッている選手が出てくる。今回、後半、ロングスローを任された選手が珍しく足をつって交代。そのためロングスローができる選手が不在に。いわばFW戸川にお鉢がまわってきた。ここで得点に絡むとはやはり持っている選手。
有馬監督は「(FW戸川は)負けず嫌い。ピッチに入ったら何かを残してやろうという気持ちがある選手」と評した。この気概が得点につながったといえる。
忘れていけないのは勝利を引き寄せたのはロングスローだけではないということ。主将のMF6長井隆之介(3年)は「立ち上がりから我慢強く、守れたこと。だからこそ自分たちの時間を作ることができました。いい時間も悪い時間でも耐えることができました」と集中した守備を安定してできたことを挙げた。さらに2週間前に行われたK1リーグ第15節 法政二高戦(10月5日)で1‐0で勝てたことも大きい。苦しい展開ながらも「負ける気しませんでした」と自信をのぞかせたMF6長井。
我慢強さで難しい初戦を勝ち上がった東海大相模は準々決勝・市立橘戦に向かう。
(文・写真=佐藤亮太)
▽第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選