一方2得点を挙げたMF21 福田は、1点目は練習通り。2点目は「運よくボールが転がってきただけです」と控えめに語った。そのなか目に留まったのは1点目をアシストした右サイドバックDF4冨井の突破力。単発ではなく何度も力強い無尽蔵のドリブル突破を見せた。DF4冨井について内田監督は「コンスタントにきょうくらいのプレーはできます。前に出られる展開になると(冨井の)攻撃参加が活きてきます。3年間、試合に出ていたので、これまでの経験値が活きたと思います」と活躍の要因を示した。
さらに同じ右サイドで2点目の起点となったMF8山崎とのユニットはチームの大きな武器。DF4冨井は「山崎が相手をひきつけてくれたのでスペースが生まれました。(そのスペースに)自分の走りを活かして、チャンス作れたのは大きかったです。(MF8山崎とは)この1年間、磨き上げてので、いい感じに崩せました」と胸を張るとともに「後半途中、悪い雰囲気があったので誰よりも走って、盛り上げていこうと思いました」と勢いをもたらす快足を見せた。
DF4冨井の言う、『後半の悪い雰囲気』を断ち切ったのがGK1樋口暖人(3年)。後半、2度の決定機を防ぎ、ナイスセーブを見せた。その原動力は敗戦の苦みと反省だった。
GK1樋口は「T1リーグの前期、国士舘と対戦した際、4失点で負けてしまい、悔しさが残っています。(※T1第9節 国士舘4-1実践学園)しかも開始早々の失点だったので、(今回は)前半立ち上がりから集中して1本でも絶対止めようとしました。国士舘はとにかく前へ前へのチームなので、最後まで集中を切らさないよう、守備陣に声をかけました」とキッチリ、借りを返した。
昨年ベスト8で敗れた実践学園だが、ひとつ壁を乗り越え、準決勝に進んだ。しかし指揮官に喜ぶ様子はなかった。
「(試合に出る選手は)部員180人を代表して、ピッチに立っているので、もっとやってもらわないといけない。出られない彼らのためにどれだけ戦えるのか、そこしかないので」と内田監督。試合に出る選手とともに、その選手を選ぶ内田監督自身が抱く責任の重さも感じられた。
なお、実践学園は11月10日、西が丘サッカー場で駒澤大学高等学校とベスト4をかけて戦う。
(文・写真=佐藤亮太)
▽第103回全国高校サッカー選手権東京予選
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