帝京 vs 國學院久我山

 同点弾を決めたFW10森田はゴールについて「宇宙貯金のおかげ」と語った。中学生のころから続ける、この「宇宙貯金」なるモノ。FW10森田によれば、ごみを拾って捨てるなど、小さな善行が『目に見えない貯金』として自分に返ってくるというもの。(目に見えないもの=宇宙・森田談)

 「自分はチームで一番下手で練習でも『下手だ』と言われるなか、こうした大舞台で成果となって現れました」と喜んだ。またFW10森田は昨年、準決勝で敗れた際、悔しさをノートにつづり、『来年はうれし涙にしたい』と記したそうだ。試合前、このノートを読み返し、試合に臨んだ甲斐あっての同点ゴールとなった。

 お互いの良さが出しあえた好ゲームを帝京・藤倉寛監督は「今年一番のゲーム内容でした」と総括した。自然とそうなったのは帝京が國學院久我山に2年連続、準決勝で敗れており、越えなければならない壁だったからこそ。より気持ちの乗った試合となったと言える。そしてもうひとつ。帝京にとっての、いわば壁はプレッシャー。多くのJリーガーを輩出した伝統校。長年、遠ざかったために期待は否が応でも膨らんでいく。しかし、そうした期待をよそにイレブンは冷静に戦っていた。

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▽第103回全国高校サッカー選手権東京予選
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