とともに堀越から伝わるのはチームが共有する冷静さなるもの。それは単なる楽観主義ではない、緻密で明快なものに見えた。そう感じたのは1‐1で迎えた後半終了間際、80分のシーン。堀越は左サイドからFW10 三鴨のクロスをDF4森がヘッド。これがバー直撃。こぼれ球を拾ったFW10 三鴨が立て続けにシュートを放ったが、相手GKの好セーブに阻まれた。

試合後の両校(写真=矢島公彦)

 ふいになったビッグチャンス。それでも堀越イレブンに動揺はなかった。

「(あのようなシーンになると)焦れて延長で沈みがちですが、選手たちは冷静でどのようにゲームを作っていくか、プランニングがありました」(佐藤監督)

「(あのシーンで)決めらなくても絶対に取れる自信はありました」(FW10三鴨)

 実際、FW10三鴨は有言実行を果たしている。同じ展開からDF4森へのゴールをアシスト。そしてPKを決め、2ゴール1アシストの活躍。「延長戦で勝ち越されたとき、『終わってしまうのかな』とよぎりました。状況は最悪でしたが、ボールは持てていたので、このまま押し込めば、勝てるかなと感じていました」と確固たるプランを粛々と遂行できたことが勝因のひとつ。

 選手主導のボトムアップ方式を採用する堀越。その強みが発揮されたゲームとなった。

(文=佐藤亮太 写真=矢島公彦)

▽第103回全国高校サッカー選手権東京予選
第103回全国高校サッカー選手権東京予選